楓 ページ23
すばるSide
涙を拭いてからステージに立った
照明が俺だけに当たる
渋「俺のために
今日はこんな会を開いてくれて
ほんまに、ありがとう」
礼をしてから俺はまた話し出した
渋「本当に辛い思いさせてまうのはわかってる
でもそれでも俺を行かせてくれるみんなに
俺はこの曲を贈りたいなと思って
今から歌います、聴いてください」
・
忘れはしないよ 時が流れても
いたずらなやりとりや 心のトゲさえも
君が笑えばもう 小さく丸くなっていたこと
かわるがわるのぞいた穴から 何を見てたかなぁ？
一人きりじゃ叶えられない夢もあったけど
さよなら 君の声を抱いて歩いていく
ああ 僕のままで どこまで届くだろう
・
いつだったか聴いた曲
これを俺は心の何処かに書き留めていた
いつか歌いたいー
それがこんな場になるだなんて
思いもしてへんかった
でも俺の心をうまく表現した曲だと
歌いながら思っていた
7人で生きていくという夢、
それは7人でなければ意味がなくて
そして7人の声はいつも俺の背中を押してくれていた
その感謝が伝わってくれたらと心の底から祈った
俺が歌い終わると全員の目に涙が浮かんでいた
ヤスだけが泣き笑いしながら見つめてた
渋「A、」
そして俺はAに声をかけた
手招きするとAは
ステージに向かって歩いてきた
マイクを切ってふたりだけで話す
渋「ええか、思いっきり歌え、俺の分まで、」
A「うん、」
少し浮かない顔やったけど目には炎が宿ってた
ステージを降りて
マイクの前に立つAを
俺はただひたすらに見つめてた
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作者名：ゆいはん | 作成日時：2018年7月7日 20時
