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13話 ページ14

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静けさを取り戻した保健室で1人
今起こったことを整理する


あぁ、それにしても頭が重い


何故、キヨはあんな事を・・・?









「・・・・ぃ・・・」






「・・・・お〜〜い」





体を左右に揺すられるような感覚で目を覚ます

いつのまにか寝てしまったのか
ゆっくり瞼を開けると目の前にいたのは
ビシっとスーツを着たキレイ目な中年の・・・


「Aちゃん?」


『先生!』



見慣れないその人に驚き勢いよく体を起こした
優しく私の名前を呼んだのはこの学校の理事長だ
覗き込むようにして私をみていた理事長も
いきなり私が起き上がったのにはびっくりしていた


「ふふ、おはよう、元気そうだね」



『え、え?なん、で??』


寝起きで訳も分からず
とりあえず辺りをキョロキョロと見渡す
いつのまにか外は暗く、
下校時刻になっていたようだ


「体調大丈夫?送っていこうか?」


『い、いえ!大丈夫です!』



さらりと前髪を整え頭をポンポンと撫でてくる
優しい笑顔に少し癒され心が落ち着いた


「そういえば、
・・・欲しい物は見つかったかな?」


その一言で急に心が冷めていく




それは4月の出来事
始業式も終わりポカポカ陽気の中
渡り廊下で外をぼぅっと眺めていた
新入生のキラキラの笑顔が眩しい


「つまらなそうな顔をしているね」


そっと隣に来た紳士
入学式や始業式、いろいろな行事の時に
度々見る顔
この大きな学校の理事長だとすぐ気付いた


『そんなこと・・・』


「Aちゃんは欲しい物ないの?」


あまりに自然に出た自分の名前に驚いた
この人は全校生徒の名前を把握しているのだろうか



『・・・・ない、です』


勉強もスポーツも技術もお金も名誉も
何にも価値を感じない
世界が灰色にさえ感じてしまう
そんなカラッポな私



「・・・・・嘘だね」



『・・・・・・・』



自分の言葉を否定され不思議に思い
隣にいる理事長の顔を見上げる
何もかも見透かされたような視線が降ってくる


「欲しいと思うことを恥じちゃいけないよ」


優しく笑いポンポンと頭を撫でる大きな手


『本当にないです・・・から』


「・・・じゃぁ、こうしよう」


ポンと手を叩いた理事長の嬉しそうな顔
何を思いついたのか、次の言葉を待った


「何か欲しいものができたらボクに言って?
できる限り協力してあげるからね」






「約束」





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しおみ(プロフ) - あっとろさん» コメントありがとうございます!更新遅めですが頑張って行きたいと思います! (2017年12月15日 15時) (レス) id: 1b48ac35b1 (このIDを非表示/違反報告)
あっとろ - おもしろい!更新頑張ってください! (2017年12月10日 0時) (レス) id: 61fa521ea8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しおみ | 作成日時:2017年12月7日 0時

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