永遠の箱 (ページ6)

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捕まえた / 真島吾朗ページ6

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「だーるーまーさーんーがー、転んだー！」

年甲斐もなく子供の遊びで盛り上がっている東城会大幹部真島吾朗。字面が気持ち悪くて吐きそう。うえっ。
そんな彼は仕事が終わったなどと会長に嘘をつき、会長秘書の私を連れ出してはこうして東城会裏の庭園で馬鹿な遊びをしているのだ。これを遠目に見ている冴島さんは腕を組んで座っているけど、遠くから見たら起きているか寝ているかも分からない。おそらく後者だ。真島さんは一切動かない私を見ては、つまらなそうに口を尖らせて地団駄を踏む。

「Aちゃん動いてへんやろ！これじゃゲームにならんやん！」

「動いてます動いてます。続けてくださって大丈夫ですよ」

「ほんまかいな…」

一つしかない目を細めながら私を訝しげに睨む。ぶっちゃけ峯さんに睨まれ慣れているので微塵も怖くないけれど、肩をすくめて怖がっているフリをしておいた。ここで何の反応も見せないと逆に彼を煽ることになるのを知っている。でも何だか面倒くさくなってきたし、冴島さんの隣までいって休もうかな。そう思い、真島さんの声に合わせて踏み出した。

「なんや遠なってへん？」

「老眼じゃないですか？」

「失礼なやっちゃなぁ」

そろそろ会長に三時のおやつをお出ししなければいけない時間だ。紅茶と、テレビで特集をされていたコンビニのスイーツを出そうと思っていたのだ。あれ、共有冷蔵庫に保管してしまったけど、桐生さんあたりが食べてしまっていないだろうか。一つ三百円程度するから自腹の私には結構痛手なのだ。
そろそろ冴島さんが寝ているのが見えてきたところで、鬼の声がどんどん近くなっているのに気が付く。もちろん私は真島さんから遠ざかっているのだから、考えられるのはただひとつ。

「鬼が近づいてきちゃ駄目でしょう」

「ワシから遠ざかんのが悪いねん」

ぽんと頭の上に手が乗っかった。捕まえたと言わんばかりの笑顔と共に。

「せやなー、ゲーム無視したAちゃんにはお仕置きせなあかんなぁ」

「勘弁してください」

「何がええー？」

「聞く気ゼロですね」

私の肩に腕を載せてガッチリとホールドした。タバコの匂いやら香水の匂いやら柔軟剤の匂いやらが交ってへんな匂いがする。うえー。
堂島会長、今頃時計を見てうずうずしてらっしゃるんだろうな。呑気にそう考えていると、ほっぺにちゅっと唇が押し付けられた。

「これで堪忍したる！ほなな！」

二度と遊ばない。そう固く誓った。

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