さよならをただ、告げたくて【テニプリ/幸村精市】 (ページ7)

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……いや、そんな平然と自己紹介されても。こっちは混乱してるんですけど。

まず第一にどうやってここへ？切原が私をこの人と見間違えたことに関係があるの？もしかして、あの青髪もこいつの仕業？

｢うん……うん……？？？｣

｢悩んでるね。｣

いや誰のせいだと思ってんだよ。

｢……と、とりあえず。その……あんた、いや、あなたは一体どこから私の部屋に入ったんですか？｣

柄じゃないけど、一応初対面だし。

ぎこちない敬語を聞いた幸村とやらは、何だそんなことかと笑って立ち上がった。

……いや、正確に言えば、立ち上がってはない。

｢……え……｣

私は彼の足元を見て、言葉を失った。

(……足が、ない。)

彼は、立ち上がったんじゃなくて浮いていた。……あれ、ってことはもしかしてこの人。

｢……幽霊……？｣

｢正解。……俺、死んでるんだ。｣

悲しそうに笑った彼は、そう言って私を見た。

……でも、本当に幽霊？

だって私ナチュラルに見えてるし、透けてなんかもないし……

｢……本当、自分でも幽霊なのかなって疑っちゃうよ。……でも、幽霊なんだよね。｣

そういいながら彼は私の頬に触れようと手を伸ばした。

伝わってこない温かみと、消えた足が私に彼が幽霊であることを改めて痛感させたのだった。