さよならをただ、告げたくて【テニプリ/幸村精市】 (ページ5)

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｢ただいまー……｣

補習の後。なんとか切原を問い詰めてみようとしたが、奴は私には目もくれず、さっさとテニス部に行ってしまった。

……というか、なぜこんな補習くらうような奴が部長やってんだ。

じんじんとまだ痛む右手首を押さえながら、私はため息をついた。

あいつ、力ある癖に痕残るくらい掴みよって……

とにかく、冷やすかあ。

リビングへ行くと、部屋着に着替えた姉貴がテレビの前でくつろいでいた。

｢あ、おかえりA。｣

｢ただいま……って、姉貴部活は？｣

｢今日はお休みですって。それよりA、腕どうしたの？｣

｢ちょっと馬鹿に掴まれちゃって。保冷剤ある？｣

｢あるけど……｣

｢……ん？何？｣

｢……ねえ、A。あなた、髪でも染めた？｣

｢はい？なんで？染めてないけど？｣

｢でも、青いわよ。あなたの髪。｣

｢へ？｣

青い……？

私は大急ぎで保冷剤を取ると、タオルを取りに行くついでに洗面台を覗き込んだ。

……姉貴の言ってたことは、本当だった。

｢嘘……なにこれ……！？｣

私の髪が、別人のように深い青に染まっていた。

私じゃない。やっぱり、あの風のせい……！？

｢……あれ、｣

でも、気づいてみると髪は元の黒に戻っていた。

気味が悪くなった私は早々に洗面台を抜け、自分の部屋へ戻ることにした。