さよならをただ、告げたくて【テニプリ/幸村精市】 (ページ23)

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そこからは、苦しそうな顔を浮かべながらも彼は私に話をしてくれた。

海外で、倒れてしまったこと。それがきっかけで、病気の再発が発見されたこと。その時点で、手術をしてももう完治は見込めなかったこと。

｢……あと少し。あと少しだけ早かったら、完治できたかもしれないんだって。俺、ちょっと遅かったみたい。｣

｢完治って……まだしてなかったの？もうしてたのかと……｣

｢日本じゃそれが限界だったんだよ。｣

本当は、病気が完治する手術を受ける予定だったらしい。

もう事前に、連絡も受けていたらしい。

あとは日にちを決めて、挑むだけだったらしい……

｢……あの時は、本当にブン太に申し訳なかったよ。せっかく死に物狂いで取り付けてくれてたのに……｣

ほんの少し、間ができた。

垂れた髪の向こうでどんな顔をしてるかは知らないけど、辛かったんだろう。そして、こんな話をしてる今も、辛いんだろう。

｢……そこからは、俺だけ日本に強制送還だよ。仕方ないかあ……それで、そのまま入院。また戻ってきちゃった気がして、辛かったなあ……｣

もう回復できないかもしれないと彼が知ったのは、それから数日後のことだったらしい。