さよならをただ、告げたくて【テニプリ/幸村精市】 (ページ3)

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｢……あー、今日めっちゃ涼しい……｣

茹だるような残暑も、そろそろ終わりを告げる頃。私は顎をさくに載せて、目を細めながら風に当たっていた。

やばい涼しい、めっちゃ涼しい、天国……

と、その時。何かがわたしの頭を直撃し、私の意識は一気に現実に戻された。

｢いっ！？｣

｢おい南原！なにしてんだよ、とっくに補習の開始時間過ぎてんぞ！｣

振り向くと、私よりも酷い天パ頭が私を見下ろしていた。

……なんだ、切原か。

｢あれーそうだっけー｣

｢思いっきり棒読みじゃねえかよ！｣

｢ちっバレたか。ていうか切原も補習でしょ。｣

｢俺は先生にお前探しの依頼されたからいーんだよ！｣

｢うわあそうやって堂々とサボるんだ。｣

｢お前だけには言われたくねーよ。｣

｢私もあんたにだけは言われたくありませんー。｣

｢うぐ……とにかく行くぞ！｣

｢はいはい。｣

行く気ゼロの返事を切原に返した、その時だっただろうか。

｢……！？｣

突然風が吹いて、何と言ったらいいか……何かが、私の中に入ってきたような気がした。

……なにこれ。ただの風だよね今の。

｢……うん……？｣

ま、いいや。気にしない気にしない。

私はそう思うことにして、再び止めた足を歩ませ始めた。