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１８* ページ19
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テニスコートに忘れた鞄を取りに行くと、その近くにあいつの姿はあった。
フェンスに張り付いて、練習の様子をじっと見ている。私が近づいても、全く気づかない。
(……あれ、)
近寄ってみて、初めて気づいた。
青髪の隙間から見えた、白い肌。そこに伝う、一筋の水滴。
｢……｣
幽霊って、泣くんだ。
私は何も言わずに鞄を取ると、そいつの背中に向かって声をかけた。
｢……ねえ。帰るよ、そこのマイペース野郎。｣
｢！……ああ、おかえり。帰ってきたんだ。わかった、すぐに行くよ。｣
振り向いたあいつは、笑っていた。それでも残る涙の跡を、私は気づかないふりをして高校を後にした。
……やっぱり、さみしいのか。この人。
少しだけ人通りの多い通りを抜けて、がら空きの電車に滑り込んだ。
ちらほらいた人も、二駅過ぎる頃には誰もいなくなり、車両には私とあいつだけが残った。
次の駅を出た頃だろうか。ゆっくりと、あいつが口を開いたのだ。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年6月13日 18時
