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｢……あー疲れた。｣
二月の、終わり頃。私は一人屋上で座って、空を見上げていた。
ここに、立海大附属中学にやってきて、はや三日。変な時期に編入したもんだから、クラスは居心地が悪い。
冬だからやっぱ寒いけど、こっちの方がなんか落ち着いた。
｢……｣
どんよりとした空。屋上庭園に咲く花々には、どうもあっていなかった。
(……父さんも勝手だよなあ。わざわざ姉貴に合わせて引っ越ししなくても……)
姉貴の高校合格に合わせるように重なった、父さんの転勤命令。姉貴は、同じ立海の付属高校に合格していた。
釣られるように受けさせられた編入試験。なぜ受かったか、自分でもわかってない。
｢……｣
いろいろと考えていたら、身震いがしてきた。そろそろ戻らなきゃ。
｢……わっ！？｣
扉を開けようと立ち止まったら、扉側が勝手に開いた。
ビビって立ち止まっていると、扉の向こう側にいたらしき人が出てきた。ここの制服着てる……けど、すっげえ老け顔。
｢む、誰かいたのか。すまない。｣
｢は、はあ。｣
私よりもずっと背の高いその人に軽く会釈をし、私はその人と扉の隙間から逃げるように抜け出した。
何だあの人……いかつかったなー。
(……あれ、でも……)
あの人、車椅子連れてなかったっけ？
……車椅子連れてきちゃって、いいの？寒いだろうに。……ま、いっか。
その時私は特に気にもせず、その場を去った。
それから、月日は流れ、九月の終わり。
私はまた、あの屋上に立っていた。
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作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2015年6月13日 18時
