【小説】箱舟の軌跡 (ページ16)

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第15話　シキページ16

＊

オレは盛大に膝から崩れ落ちた。

｢嘘だー！！！｣
オレの大声に、森の鳥たちが一斉に飛び立つ。

｢シキうるさい｣

｢うぅ、だってさ…｣
オレが、オレが……………ルークに負けるなんてぇ！！

指さす先には、手にこんもり植物の入った袋を持つルークが、へへーん！と得意げに胸をはっていた。

くそっ！あのニヤニヤ顔が腹立つ！

｢俺天才！｣

｢偶然だろ！｣

｢運も実力の内だろぃ！｣

｢ちっくしょー！｣
オレは地面をバンバン叩き、恨めしそうにルークを睨み上げた。

｢いやー、自分でもビックリだぜ！俺にこんな才能があるんだってな！｣
草花達も、俺の魅力に寄ってきたのかも！
いえーい！

ルークの背後にキラキラしたエフェクトが見える。

｢………｣
あー、カナメ引いてるし。
オレもなんか冷めたわ。
無言で立ち上がると膝についた土を払う。

とりあえず

｢カナメ、いこ｣

｢うん…………………あ｣
カナメがふと後ろを振り向いた。
今のカナメの動き可愛い……………って
何考えてんのオレぇ！？

ぶわぁっ
顔が熱くなっていくのがわかる。
こんなとこルークに見られたらまたからかわれる！

｢レイナサマ｣

そう、レイナさんにも……って、え？レイナさん？

カナメが見る先を目を凝らして見ると、何かを叫びながら走ってくる人影が見えた。
あの金色の髪は確かにレイナさんだ。

カナメ、良く気づくよなー。

｢やぁっと見つけた！｣
ゼーハーゼーハー膝に手をつき肩で息をするレイナさん。

も、もしかしてオレたちを探してたとか？

｢レイナサマ、どうしたの？｣

｢帰りが遅いから迎えに来たの！｣
さっ、帰るわよ！

そこのキラキラしてる子も！！

さすがレイナさん。
自分の世界に入ってるルークにもちゃんと気づいてあげてる。

｢え、子猫ちゃん！？｣

そしてルークよ。お前は気づくの遅すぎ。

｢使用人サマ、レイナサマは猫じゃないよ｣

～ああ、ツッコミが追いつかない！！

ダレカタスケテ………

＊