第25話 シキ ページ27
*
バリバリバリ──!!
黒い稲妻が辺りを走り回る。
そうか、レイナさん達を連れてこなかったのはこれが原因か。
雷が苦手な2人を近づかせないためみたいだけど、言い方がキツイよ カナメ。
ルークも、とばっちりだったなー。
そんな現実逃避をしたくなるほど目の前の光景が信じられなかった。
森の奥へやってきたオレ達。
少し前からだんだん重くなりつつある空気に、人間のオレでも具合が悪くなりそう。
前を歩くカナメの足が止まる。
「シキはここで待ってて」
ここまで来て待たされるなんて、反論しようとした瞬間。
バリバリバリバリバリ───!!!
前から黒い稲妻が四方に飛び交う。
「わっ!」
眩し過ぎて、腕で顔を庇う。
同時にきた風圧に体が飛びそうになる。
フワッと何かが肩にかかる。これは、上着?
「遮光効果があるから、少しでも楽になると思う」
着てて。
「で、でもカナメは!?」
見ると、彼女は黒のタンクトップに長ズボンという薄着だった。これじゃ大怪我を負ってしまう!
「ウチは大丈夫」
この言葉が、妙に力強く信じられると何故か思ってしまった。
出そうな涙を押し込めて、
「絶対無事に帰ってきてよ!」と叫ぶにと、
「もちろん」としっかり目を見て応えてくれる。
そして、カナメは奥へ足を踏み出して行った。
カナメが中へ入ってから数分が経った頃、稲妻が止んだ。
一気に暗く静かになったこの場で、残されたオレは背中が寒くなって行くのを感じた。
肩にかかったカナメの服を握りしめて身を縮める。
この待つ数分が、何時間にも感じて。
「カナメぇ」
「呼んだ?」
「!」
垂れていた頭が上がる。
暗さに慣れたオレの目にハッキリ映ったカナメの姿に、オレは耐えていた気持ちが爆発して涙が止まらなかった。
思わず叫ぼうとしたが、
「しぃー」
指を口に当てて、静かにしてと合図してきた。
ふと、彼女の目線が左側(オレで言う右側)に向いて
「え」
思わず涙が止まる。
《 キュゥ 》
何故が 小鹿がいた。
「これが、森の主だよ」
平然と言うカナメの頬には少しのススが、髪も所々焦げていて………いや、ちょっと待って!
腑に落ちないんだけど!!!
声に出せない分、心の中で思いっきり叫んだ。
「とりあえず、帰ろ」
さすがに寒い。
カナメに応えるように小鹿が可愛く鳴いた。
解せぬ。
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新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 終わりました (2019年9月5日 19時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 誰もしないので編集します (2019年9月5日 19時) (レス) id: c000802a3c (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 終わりました (2019年5月14日 19時) (レス) id: d271bd57c6 (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 最新します (2019年5月14日 16時) (レス) id: d271bd57c6 (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 訂正終わりました (2019年4月9日 22時) (レス) id: d271bd57c6 (このIDを非表示/違反報告)
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