今宵、鮮血ニ染メテ。【鬼滅の刃】

37 狂無 ページ41

A視点

時が経つのは実に早いもので。
霊の呼吸を習得してから5ヶ月弱たった。

霞の呼吸の壱ノ型と陸ノ型は相変わらずだが、
それ以外、特に霊の呼吸には磨きがかかっている。
師範曰くそこそこ辺の隊士15人や、
鬼ならば下弦は余裕で倒せる程だとか。

今日は、半年に一度の柱合会議。
私が継子である事が正式に発表されるらしい

私自体そんなに重くは受け止めていないが、
心なしか師範の気配が軽い気がしなくもない。

「準備はできたかァ？」

噂をすれば、
とでも言うように私の部屋の襖を開ける。

『はい。』

暮しにもだいぶ慣れた。
家族ごっこを楽しいと思っている。

「あとお前ェ、急だが苗字変えねェか。
　そのままだと…なァ？」

いや、何言ってるのかよく分からないけど、
師範がそう言うなら別に良いや。

『はい。良いですが何に？』

「不死川ァ？」

それはな。

『それはちょっと…
　鬼殺隊にいる上で、柱と同じ苗字は目立つと。』

「何時か苗字を…そう言う意味でやんよ。」

？聞こえなかったけど肯定の気配だ。

「じゃあよお、狂うに無い、で
　狂無(ｸﾗﾅｷﾞ)はどうだ？
　読み方も変わんねェし。」

師範が何を考えこの不吉そうな漢字を提示したのか。
…でも、気に入った。

『じゃあ、そうします。』

「(お前に似合うんだよ、この苗字の読み。
　 でも思い出しちまうからな。色々。
　 …それに凪は冨岡の呼吸の型だし、
　 意味は風が止むだしなァ…)」

師範は言葉こそ無くとも優しい人だ。

『…気に入りました。』

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「お館様の御成りです。」

お館様の御子息のよく通る声。
合図を受け、いつかのように全員が跪く。

私は今部屋の奥で待機している。

何時もの一通りの挨拶を終えたらしい。

「今日はみんなに大切な知らせがある。
　入ってきて良いよ、A。」

『御意。』

別に緊張なんてしてない。
ツカツカ歩き平然とお館様の前へ。

「もうみんな知ってると思うけど、
　Aが正式に実弥の継子になるよ。
　それと…」

それと？私もこの先は知らない。

「Aにはこれからも
　柱合会議に出席して欲しいんだ。」

へ？

周りを見渡すと、
師範を除く8人が明らかに動揺していた。

…何してくれたんですか、師範。

「実弥からの報告で、
　Aは頭がいいと聞いた。
　これから、そうだな…
　鬼殺隊の頭脳になってくれるかい？」

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