今宵、鮮血ニ染メテ。【鬼滅の刃】

26 来客 ページ29

A視点

私が此処に来て一ヶ月ほどが経った頃のこと。

「全集中。風の呼吸、壱ノ型ァ 塵旋風・削ぎ‼」

私は師範に呼吸を教えて貰えるレベルまで上達した。
蝶屋敷で、全集中・常中も取得済み。

『全集中…風の呼吸、壱ノ型…塵旋風・削ぎ。』

何かちっこい風が出てきた。

「もっとォ！声を！張り上げろォ！」

『はいッ。』

この1ヶ月、師範を完全に信頼出来るようになった。
偶にお屋敷に遊びに来る無一郎くんも面白いと思う。

『全集中！風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ！』

…

さっきよりできてない気がする。
でもまぁ、コツは大体掴めた…気がする。

『全集中…、風の呼吸 壱ノ型…塵旋風・削ぎ。』

自分でも驚いた。
たったの3回目で地面が抉れたから。

「次、弍ノ型に移る。
　声は小さくて構わねェ。」

『はい。』

疲れは無視しろ。どうでもいいんだ。

「まず、手本だ。
　全集中。風の呼」

「A、遊びに来たよ。」

この声は…

『無一郎。』

「と、冨岡ァ…」

一様、柱の中で3番目に仲が良いのが冨岡さん。
一緒に居て楽なんだけども、
師範が中々会わせてくれない。

「抹茶とお萩(の差し入れだ)。」

数週間前、蜜璃さんと小芭内さんに
甘味処へ連れてってもらったとき、
とっても美味しかったのが「抹茶」と言う食べ物だ。

『冨岡さん、無一郎、有難うございます。』

「A、冨岡さん語分かるんだ。」

まぁ、普通にね。
雰囲気とか間とかで。

「だが、冨岡は屋敷には上げねェぞ。」

師範がこれだから…
冨岡さん「(心外ッ！)」って顔に書いてあるし。

なんかだんだんお馴染みになってきた。

『師範。』

ほんっとに少量の殺気(一般人じゃ出せないレベル)を送れば、師範はすぐ大人しくなる。

「しゃーねーなァ、鍛錬は一旦中止だァ。中入れ。」

「不死川さん、お邪魔します〜。」

木刀を置き、台所へ。
お茶を入れ居間へ運ぶ。

『失礼します。』

「(お茶を入れていただいて)すまない。」

「冨岡さん、足りてない」

師範は不機嫌だけど、私はなんだかんだ
この何気ない会話が好きだったりする。

「そういえばね、今日Aに話したい事が
　あるからきたんだ。」

なんだろう…やらかしたとか？

「継子の引き抜きはさせねェぞ？」

うん、私も此処に居たい。

「出来るんならしたいんだけど…」

本音が。
すっごく睨まれてますよ。

「いや、それで。実はね…」

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