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21 夕飯 ページ21

実弥視点

「気配、屋敷の中では出してろ。」

今、食事を終え2人で皿洗いをしている。

ふと思い言った言葉に面食らった様に手を止める。

「無言は肯定と受け取るゥ…」

なんて言ってると、Aは息を大きく吐いた。
…溜息なのか、深呼吸なのか。

どちらにせよ、
気配が段々押しよせてくるのが分かる。

生まれた威圧感、その幕の中に感じた事のない程の
虚無感に等しいもの。
僅かだが感じ取れる、殺気。

空気がはち切れそうだ。

特別気配に敏感でない俺にも鮮明に伝わる。

A、という存在。

それは気配だけで目を離せば
もう居ないのでは無いか。

Aへの印象が、
亡霊、から、生霊、に変わった瞬間。

考えてみればそれは、前にも後にも今しかない。

既成事実だ。

『どうですか?気配、出せましたか?』
「ッ、あァ。」

此奴は、第6感が優れていると聞いた。
それと同時に感情が読み取れることも。

きっと、今のも返事なんざァ、いらなかった。

凄い、怖い、マズい。

マイナスがやや多い思考が巡る。

気が付いた時ィ、皿洗いは終わっていた。

2人掛かりだから当然なのだけれど。

それが、妙に短く感じたのは言うまでも無いィ。

『私、』

思考を読まれたかァ⁈

『師範の事を人間として信頼していますから。』

読まれた。
だが、慣れている様に気にする様子も無かった。

「俺もだァ。」

本心。

それだけ。

それだけ。

俺はァ…Aの親に会ってみたかった。
何をそこまでしたのか。

『師範、この後の予定は?』

「予定か?特にねェな。」

毎回、思考でも読んで俺のことを
脅かそうとでもしているのか…?

『胡蝶さんに、鍛錬がある、
 と聞いていたのですが…』

嗚呼、それか。

「それは明日から始める。
 今日は…今日もォ、ゆっくり休んどけ。」

『御意。』

それだけ言うと、
音もなく自分の部屋に帰って行った。

長い黒髪、隠された左目、青白いともいえる肌。

毛先は、夜なら黒く見えるだろうしィ…

夜中、幽霊だ、とか失礼なことを
叫ばないよう気をつけないェと…ヤベェな。

其れこそ信頼を失う。

なんだかんだ、
Aといると時間の流れが早い訳でェ。

夕飯を作ってくれているのをぼんやりと眺めていた。
久しぶりに、他人の作った飯を食う。

このちっこい体にお前は、
どれだけの事を背負ってきたのか。
教えてほしい。

11歳の継子の作った飯はァ、
最近喰った何よりも美味いと心底から思えた。

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名無しのダレカ - 覇戮。さん» 言ってる!フツーに言ってる!でも見てて楽しいからなんでもあり! (2020年6月10日 17時) (レス) id: 51c86cb065 (このIDを非表示/違反報告)
覇戮。 - 名無しのダレカさん» 閲覧感謝です!伊黒さん…難しかったんですけど、彼女に依存してそうなので笑(ネタが…切れたとか言えない) (2020年6月10日 12時) (レス) id: c554519ff6 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのダレカ - 順位獲得記念の『自害します』で「え?」ってなりました。(ちなみに涙目) (2020年6月9日 21時) (レス) id: 51c86cb065 (このIDを非表示/違反報告)
覇戮 - 神崎さん» すみません、続編は今日の夜投稿します。宜しくお願いします。 (2020年5月28日 4時) (レス) id: c554519ff6 (このIDを非表示/違反報告)
神崎 - 続編のパスワードって教えてもらうことはできませんか?できれば教えてほしいです! (2020年5月28日 0時) (レス) id: bf878b2d72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:覇戮。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hal0-0/  
作成日時:2020年4月24日 20時

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