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Aside







ジェイムズさんは根気よく私の勉強に付き合ってくれた。


試験までの間、仕事もあるのに毎晩遅くまで一緒に教科書を広げてくれる。


出題も採点も復習もすべて。


二人で共に寝落ちてしまったこともあった。


散らばった教科書やノート類とソファーから半分ずり落ちた格好で目覚めた朝には、節々の痛みに呻きながら朝食の支度をしたものだ。


ジェイムズさんに至っては皺だらけのスーツで出勤していくことも。







『……どうしてこんなに手伝ってくれるの』







試験前夜、最後の勉強が終わったあとに尋ねてみた。


戸籍上は親子だが血の繋がってない赤の他人。


出会って共に暮らし始めて数年。


本当にジェイムズさんはよくしてくれる。


なんで私なんかにこんなにも……。








ジェ「……A、君は私の娘なんだ」


『娘だよ』


ジェ「形式上じゃなくて、本当の娘のように大切に思っているんだ。私に娘は君しかいない」


『……?』


ジェ「私もこの感情を上手く言葉に表すことは出来ないんだ。初めて抱いた感情だ」






ジェイムズさんは眉を下げて笑った。


そしてジャケットの内ポケットに手を当てる。


私は知っていた、そこに彼が大切にしている指輪があることを。


ジェイムズさんはその指輪を取り出して見せてくれた。







『……綺麗な指輪』


ジェ「そうだろう。高かったんだ」


『誰かにあげる予定だったの?』








ジェ「最愛の人に渡すつもりだった。もうこの世にはいない人だ。渡す前日に、亡くなってしまった。

耐えられなくてアメリカへ渡ったんだ。だから私は今ここにいる。

そして君に出会った」







まるで運命の導きのように。






私は彼が言いたいことがわからなかった。


亡くなってしまった最愛の人の代わりに、代用として私を大切にしてくれているのだろうか。


それともたった一人の娘だから大切にしてくれているのだろうか。


よくわからない。


私の顔色を見たジェイムズさんは悲しそうに微笑み、優しく私の頭を撫でた。







ジェ「まだAには難しいかもしれない。けれども私が言いたいのは、君が大切だということだ。君が笑えば私も嬉しい。君が泣けば私も悲しい。

君が君であることが誇らしい」








彼が何を言っているのかはわからない。


理解できない。


けれども彼の手が頭を撫でてくれるのは、とても嬉しかった。

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greenthemumkiku(プロフ) - すごく...すきです、、更新、待ってます、、!!!!はよ赤井さん出てくれぁえええ、!! (2022年3月27日 23時) (レス) @page29 id: c57106f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 稲荷さん» ありがとうございます!まだまだ書き始めたばかりですが、できる限り更新できるよう頑張ります! (2022年2月17日 21時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
稲荷(プロフ) - 続き楽しみです! (2022年2月17日 21時) (レス) @page10 id: d01056f976 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2022年2月15日 20時

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