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Aside
結局、参考書を破ることは無かった。
勿体ないし長く使っているから愛着があったのだ。
代わりに安価な鉛筆を折ってみてが、特に心が晴れることはなかった。
どうすればこの胸のつっかえがすっきりするのだろうか。
暫くはジェイムズさんの言う、苛立ちの発散方法を模索することに時間を費やした。
ジェ「体を動かしたらどうかな、ランニングとか」
『夜の公園を走るのは楽しそう』
ジェ「夜は危険だから駄目だ。走るなら人目のある昼にしなさい」
『昼は学校に行ってる』
ジェ「それじゃあ別の案だ、大声で歌をうたうのはどうだ」
『普段音楽聞かないから歌詞なんてわからないよ』
ジェ「スポーツは?」
『興味ない。格闘技ならやりたい』
ジェ「断固反対だ。せめてもう少し大きくなってからにしなさい」
『もう十五歳だよ』
ジェ「まだ十五歳だろう、女の子の成長ははやいが君は全くと言っていいほど身長が伸びてない。これからまだ伸びる見込みはある。だから過度な運動ではなく適度な運動にしなさい」
ジェイムズさんの意見は一理ある。
相変わらず私は小さいままだ。
格闘技など体が大きい方が有利に決まっており、私のように小柄な子が挑んでもボコボコにされるのがおちだ。
やはり日本の合気道といった体格に左右されにくい技を学ぶべきなのであろう。
かと言ってアメリカの近場にまともな道場はない。
ジェ「ふむ……ではとりあえず、気分転換に久しぶりに外食に行かないか」
『明日もジェイムズさんは仕事で何時に帰ってくるかわからないでしょ』
ジェ「それはすまない、なるべく早く帰ってくるようにするよ」
『大丈夫、気をつかわないで』
ジェ「ならこれはどうだ?家の前の喫茶店がテイクアウトを始めたんだ。そこで食事を買ってみないか」
家の前の喫茶店。
ぱっと緑の瞳が過ぎった。
確かあの店はコーヒーとサンドウィッチが美味しいと評判だったはずだ。
私はコーヒーを飲まないので訪れたことはなく、いつも窓から眺めているばかり。
うん、テイクアウトを頼むついでにお店に寄ってどんな商品があるのかじっくり眺めるのもいいかもしれない。
『いいねそれ。明日学校の帰りに買ってくるよ』
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greenthemumkiku(プロフ) - すごく...すきです、、更新、待ってます、、!!!!はよ赤井さん出てくれぁえええ、!! (2022年3月27日 23時) (レス) @page29 id: c57106f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 稲荷さん» ありがとうございます!まだまだ書き始めたばかりですが、できる限り更新できるよう頑張ります! (2022年2月17日 21時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
稲荷(プロフ) - 続き楽しみです! (2022年2月17日 21時) (レス) @page10 id: d01056f976 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白ウサギ | 作成日時:2022年2月15日 20時