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Aside






『復讐……』







ぱっと心の中で炎が燃え上がった。


それは新たに薪をくべた焚き火に似ていた。


今までくすんでいた黒い感情が、どろりと溢れ出る。


油のようなそれはしつこく粘着質で、こびりついていた。








『復讐って、何をするの』




ジョ「何って、犯人を逮捕するの。逮捕して法の裁きにかけて罪を償ってもらう」







『それだけ?』







法が一体何になるというのだろうか。


一生の牢獄?


それとも死刑?


物足りなさを感じるのは気のせいじゃない。


刃が疼く。







ああ、お腹が空いた……。






でもまだ腹は満たせない。


狩の仕方を知らないから。


ただ単純に襲いかかるだけじゃ、獲物は逃げていく。







『復讐をするには、力を付けないといけないね』







私にはまず力が足りない。


筋肉も技術も、知恵も足りない。


だから食事をとろう。


紙袋の中にはハンバーガーが二つ入っていた。


照り焼きのタレで味付けされたお肉とレタスやサラダが挟まれている。


それらをぺろりとたいあげれば、ジョディが驚いた表情をした。






ジョ「あなた……小さい割にはよく食べるね」


『お腹が減るんだもの』


ジョ「太らない?」


『成長期と呼んで』






実際、ジェイムズさんのお家に来てから体重はうなぎ登りだった。


朝昼晩の3食をしっかり食べ、寝て、顔色もよくなった。


骨ばってた手足も多少まるびを帯びてきた。


それでも筋肉になるには全く足りない。


もぐもぐと口を動かす私を見て、ジョディは呆れたようにため息をついた。







ジョ「もっとゆっくり食べなさい。そうすれば満腹感も得やすくなるから」







彼女の手が伸びてきて、私の口元についたパンの欠片をとってくれる。


そこでランチタイムの終わりを告げるチャイムが鳴った。


ジョディは手だけ振ってさっさと教室へと戻っていってしまう。


その横顔は心做しか安堵しているように見えた。


一体彼女はなんのために話しかけてきたのだろう。


ジェイムズさんのことを聞かれたから、彼に会わせろとか話を聞きたいなど言われると思っていた。








自力でFBI捜査官になるつもりなのだろう。







彼女はきっと良い子だ。

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greenthemumkiku(プロフ) - すごく...すきです、、更新、待ってます、、!!!!はよ赤井さん出てくれぁえええ、!! (2022年3月27日 23時) (レス) @page29 id: c57106f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 稲荷さん» ありがとうございます!まだまだ書き始めたばかりですが、できる限り更新できるよう頑張ります! (2022年2月17日 21時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
稲荷(プロフ) - 続き楽しみです! (2022年2月17日 21時) (レス) @page10 id: d01056f976 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2022年2月15日 20時

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