検索窓
今日:21 hit、昨日:79 hit、合計:208,722 hit

花開く笑顔 ページ14

.



「き、きみたち...よくこの距離走れたね...」

「こ、こちらこそ...」




肩で呼吸をする私と少年は、今にも棺桶に入りそうな声で会話する。
少女はその綺麗な顔を崩さず傘を差したまま。




「銀ちゃんいたアル」





そう少女が指さす先には、銀時と子供達の姿があった。





「憎い相手を想像しながら振りかぶれ」



「にくい相手...?」


「そうだ。例えば...朝日奈とか」


「先生は憎くないもん!」


「そーか?たまに憎く感じる時あるだろ」


「.....宿題が多い日とか..」


「ほら見ろ。誰しも人間だ、聖人君子なんていねーよ」


「せいじん...?」


「難しい事は後で先生に聞け。んじゃせーので行くぞ。はいせーの、朝日奈先生の鬼婆ー」





その肩に左ストレートをかませば、急速に地面へと倒れる。





「あ!先生!おかえりなさい!」


「て..てめぇ...随分と元気そうじゃねぇか...」





花開くように笑顔を向ける子供達と、肩を押さえながら膝を着く銀時。
まったく余計な事を吹き込みやがって...私の利き手が元気ならばどうなっていたことか。





「先生見て!僕の素振り!」

「俺のも見てよ先生!」






得意気な眼差しで竹刀を振る生徒達。
まだまだ形にはなっていないけれど、私が教えた頃よりも遥かに上達が早い。



教え方はかなり雑だけど、それは確実に子供達の身に染みている。
その証拠に、みんなの表情はいつもとは違うものが浮かんでいた。





「ね、心配いらなかったでしょう?」


「銀ちゃんはやる時はやる男ネ」





横に並ぶ二人は、どこか嬉しそうに笑う。






「...あの、さっきはごめんなさい。文句ばかり言ってお礼も言わず...」

「貴方達のおかげで骨折せずに済んだわ。ありがとう」





向き直った二人は、変わらず笑顔で私を見つめる。





「いいんです。元はと言えば僕ら側に非があるんですから。それに...」

「提案したのは銀さんです。お礼なら銀さんにお願いします」





彼に送るその眼差しが、きっと"信頼"と言うものなのだろう。
中庭に響く掛け声は一つにこだまし、瞳はみな同じ方向を向いた。






.

揺れる瞳→←幼馴染だから



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (506 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1023人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 愛され , モブヒロ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もち明太子 - 面白かったです!!!!続き下さい (2022年5月7日 12時) (レス) id: 5a52c0f3ec (このIDを非表示/違反報告)
Leo(プロフ) - 今までで1番面白くて、引き込まれた作品です。何度読んでも飽きなくて、この作品を楽しみに生活していたりします。先がとても気になりますが、無理せず頑張ってください! (2022年4月20日 23時) (レス) id: e098a97811 (このIDを非表示/違反報告)
文之 - やっべスッゲー面白いです。探し求めてた君みたいな人です。更新待ってます。 (2022年3月28日 20時) (レス) id: a1eefd9b06 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - あ゛あ゛あ゛ーーっっ!!銀さんがぁ、イケメンすぎるっ(´Д⊂ヽ続きめっちゃ気になります!! (2022年3月27日 0時) (レス) @page24 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
ドラゴン(プロフ) - すごくおもしろい!更新待ってます! (2021年5月18日 10時) (レス) id: cfbce6a52c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:□白澤□ | 作成日時:2021年1月22日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。