今日もモブはモブらしく、ヒロインルートを外れます

関わらぬように ページ2

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彼は別格だ。

体力、剣術、精神力共に人並外れ、立っているだけで人が集まる。
昔から目が死んでいるとは言うがメインなだけあり醜男ではない。むしろ女子人気はある方だ。




メイン中のメイン、まさに主人公。




私がメインキャラに引き寄せられているのか、引き寄せているのか...

とにもかくにもこの世界の主要人物...ましてや主人公なぞが近くにいては、自身の人生でも脇役となってしまう。私が私の人生の主人公となる為には、彼らから離れなければならないのだ。

それに、彼らの人生はモブとは似つかない壮大なストーリーが組み込まれている。傍から見れば生死を分ける事件でも彼らにとっては日常茶飯事。神の御加護でもあるのかと疑うくらいケロっとしている。

手違いにも私がヒロインの座に上りつめてしまい、彼らの日常に巻き込まれれば、御加護0な根っからモブっ子は呆気なく人生に終止符を打つことになるだろう。




とにかく。寝ても覚めてもモブキャラな私がハッピーエンドを迎えるには、ひっそりとメインの影で暮らすルートが最良なのだ。




　 ― 朝日奈 A、25歳。
　 このまま静かにモブらしく、他人に人生を乗っ取られないように。





「銀時があっちに行くから、私はこっちに...」





彼に背を向け歩き出す。





「さぁ、はやく帰って明日の授業の準備しなきゃ」





関わらぬように、交わらぬように。









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