今日もモブはモブらしく、ヒロインルートを外れます〔続〕

あからさまなメイン ページ1

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- 誰だって、自分の人生という物語の主人公なんだ -





昔読んだ小説にこんな言葉があった。
だがしかし、物事には例外が付き物で。



人は2種類のタイプに分かれる。生きているだけで目立つ者とその他大勢。
私はもちろん後者。メインキャラの脇にいる群衆の一人。

天下無双の力もなければ、絶世の美女でもない。
どこにでもいるモブだからこそ、自身の人生くらいでは主人公でいたい。


だから避けていた。私(モブ)を陰らすメインキャラたちを。





なのに...。






「朝日奈 A、25歳。見習いとして江戸中の寺子屋を転々とした後、学の無い大人向けに低価の教科書を出版。現在は貧困家庭の子どもを中心に学費をほとんど取らず寺子屋で手習いを教えている.....とんだ救世主気取りでさｧ。」



真選組屯所、取調室。
資料を読み上げた終わりに非常に不必要な言葉を添え、ふてぶてしくも無表情で。堅い椅子に座らされている私を、その赤銅色の瞳が見下ろす。

たしかこの青年は、真選組一番隊隊長。以前特集を組まれていた番組の記憶を辿った。



「失礼だぞ総悟!...すまないなぁ朝日奈さん。ちょいと聞きたいことがあっただけなんだが...まさか手錠をかけて連れて来るとは...。」
「手荒だが容疑は容疑だ。謝罪はその辺にしてくれ近藤さん。」



唯一申し訳なさそうに何度も謝ってくる局長に、煙草を吸いながら鋭い瞳を向けてくる副長。
警察に似合わない横暴な態度に整った容姿。数回だけかぶき町周辺で万事屋三人と争っている場面を目にした。そんなあからさまなメインが銀時たち以外にいるなんて警戒していたはずなのに...。

しかも、容疑をかけられる形で対面するとは。







「....桂の居場所を吐け。」




腹の底まで響き渡りそうな低い声。
泣く子も黙ると噂の鬼の副長渾身の睨みを真っ向から受け、どこが俳優顔負けの二枚目副長なんだと特集内容が走馬灯のように駆ける。

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