立花仙蔵の恋 ページ21
.
「 これで最後かな 」
暖かい日差しの午後。
遠くからは忍たま達の遊ぶ声が響き、もう放課後なのだと悟る。
木箱を倉庫へと運び終え一息つくも、見上げた先には気味の悪い生首フィギュアの数々。
「 見て！立花先輩よ！」
「六年生は実習中だと聞いてたから...この時間に来て正解だったね 」
興奮気味のくのたま達の声が聞こえ、思わず振り返れば
サラサラストレートな髪は風に沿って流れ、
白く綺麗な肌が日差しを反射する。
初夏だというのに汗一つかかないその男、
立花仙蔵、六年い組、作法委員会委員長。
私の大嫌いな男だ。
「 ッ..!! 」
静電気が起きたように目が合えば、
黄色い声援を表情一つ変えずぐぐり抜け、私の立つ倉庫へとぐんぐん向かってくる。
中世的な顔立ちについ気をとられるが、その冷ややかな声色にすぐさま我に返された。
「 この忍術学園には二人も事務員がいるというのに、門の開閉の管理はどうなっているんだ 」
「 呼びかけても誰もいないので塀を登って入ってきた」
久しぶりに見かけたと思えば、第一声が文句。
涼しげな態度に怒りが沸々とこみ上げるのを感じた。
「 あら、それはごめんなさいね 」
皮肉混じりの笑顔に、学園一クールな男も少しずつ怒りを潰した笑顔へと変わっていく。
息の合った相性の悪さとはこのこと。
笑顔の睨みあいが続いたかと思えば、前触れもなく口喧嘩の火蓋が切られた。
「 おい、なんだその態度は 」
「 そっちだって無断で事務の倉庫に生首フィギュア置いてるじゃないの 」
「 委員会の道具管理はどうなってるのよ作法委員会委員長？」
「 なっ...屁理屈ばかりだなお前は 」
「 そんな性格じゃいつまで経っても婿が見つからない」
出会って六年目。
腐れ縁六年目。
目が合えば喧嘩が起きるなんて日常茶飯事だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光華(プロフ) - □白澤□さん» 本当ですか？！めっちゃ嬉しいです！ (2021年7月28日 23時) (
レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
□白澤□(プロフ) - 光華さん» 初恋の桜色については私も1番お気に入りの作品なので必ず完結するまで更新する予定です。余談ですが、ダラダラ更新であるにも関わらず光華様が何度もコメント下さっていることとても嬉しく頂戴しております！これからも応援の程宜しくお願い致します。 (2021年7月28日 22時) (レス) id: 6b75cad2ff (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - すみません､初恋は桜色ってもう更新されませんか？ 催促では無く個人の質問です 気を悪くされたらすみません､私の大好きな作品なので…（勿論この作品も好きです！）応援してます! (2021年7月26日 23時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
ユリリン(プロフ) - 更新されたんですね。楽しみにしていました。今回の話面白いです。続き待っています。 (2020年7月8日 12時) (レス) id: 4f0d699f1e (このIDを非表示/違反報告)
煌 - 赤髪の白雪姫ですか？良いですね！ (2020年4月23日 13時) (レス) id: 7c11cff2de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：□白澤□ | 作成日時：2020年3月9日 15時
