〔 短編集 〕 俺とあの子とあれやこれ 〔 銀魂 〕

髪乾かし〔 坂田銀時 〕 ページ1

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『ちょっ..えっ?どうしたんですか!?』





玄関で目を丸くするゆきの前には


見事に頭から水をかぶった銀時。





「ババアが表の水撒きやれってうっせーからよ、神楽に任せてたらぶちまけやがったあのクソガキ」




そう不機嫌に、片手で髪の水気を飛ばす。


さすが神楽ちゃん..と苦笑しながら急いでタオルを持ってくる。







『はい、風邪ひかないでくださいね』




目の前に差し出すと、

なにやらタオル見つめたまま動かない。





「...なに？拭いてくれないの？」


『えっ』






「えー、銀さん疲れてて肩あがんないよー、だれか拭いてくれないかなー」


「こんなに弱ってる彼氏がいるのになー、優しい彼女はいないのかなー」





『わｯ、わかりましたから!!』






精一杯両手を伸ばし、『しゃがめ!!』と目で促すと

悪戯っぽく笑ってくる。







ﾜｼｬﾜｼｬ






ふわふわした髪の水気をタオルで飛ばす。


私の身長に合わせて体勢を低くし、大人しくしている坂田さんは

なんか..大きい犬みたい..






『..はい、もう行っていいですy』



一通り乾いた髪から手を離そうとすると、







「さんきゅ」







顔を近付けて、


額に軽く唇を落としてきた。








「んじゃ、いってきまーす」







満足げに手をひらひらさせる坂田さんの背中を、







私は不意打ちに負け、






反抗もできず








ただ







額に手を当て、真っ赤になりながら









見つめることしかできなかった。









- 髪乾かし 〔坂田銀時の場合〕END -

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