二十七話 私の気持ち ページ27
「ソフィア、あなたグレンとどういう関係なの?」
「……え?」
予想外の質問に間抜けな声をあげてしまう。どうしてグレンさんが……?
「今日、ルイス様がいらっしゃって、鍛錬場で手合わせしてたでしょ?それで、珍しく慌てながらグレンが私を呼びに来てさっさと行っちゃうもんだから、仕事片付けて向かったらさ……」
エマさんは私をしっかり見据えて言った。
「木の下で、グレンがあなたを抱きしめてるのを見ちゃったのよ。ねえ、これどういうこと?」
その言葉に私は固まり、グルグルと思考をめぐらせる。
(み、見られてた……!?いや、あれは抱きしめてたわけじゃないけど……!!でもこれってもしかして……)
私の頭の中にエヴァンくんとクラリス様のことがよぎった。あの二人は幼なじみで、彼は彼女に恋愛感情を抱いていた。
そして、エマさんとグレンさんも幼なじみだと聞く。幼なじみという特別な関係なら、少なくとも一方はそういう感情を持ってる可能性も大いにあるのではないだろうか。更にこの状況だ。もしかしてエマさんはグレンさんのこと……
その考えに至った瞬間、何かにガンと殴られたような衝撃を受けた。エマさんと私じゃ絶対かなわない。過ごした年月が違う。それに、彼が頼りにするのはエマさんだけだ。私は怒られてばかり。私じゃ勝てない……って何に?
「おーい、ソフィア、聞いてる?」
「は、はい!すみません!」
エマさんの声で我に返る。と、とにかく誤解を解かなければ。
「あの、鍛錬場でのことは、私が体調悪くしたのをグレンさんが介抱してくださっただけであって、抱きしめられてはいませんし、その」
「なーんだ、そうだったの」
どうやら誤解は解けたようでそっと胸を撫で下ろす。しかし、安心したのも束の間、エマさんが言った。
「で、ソフィアはグレンのこと、好きなの?もちろん、恋愛的な意味で」
「は、はあ!?す、好きだなんて、え!?」
顔に熱が集まるのが自分でもわかった。混乱して何も考えられない。
(好き……?私がグレンさんのことを……?!)
そんな私の様子を見て、エマさんは考え込むようにしてから私の肩を掴み直して言った。
「じゃあ、私が協力してあげる!」
「……え?」
再び、間抜けな声をあげてしまった。
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作者名:お芋 | 作成日時:2019年10月16日 21時