十六話 勘違い ページ29
「ちょっと、アルバート様！何バラしてるんですか！」
「だって、お前の兄さんの目が怖いんだもん。それに遅かれ早かれバレそうだなって思ったし」
「だからってそんなあっさりと……」
今日が勝手に休業日となって店内に他の人がいなかったのが不幸中の幸いだ。だいたい、兄には女装を疑われていたのに、正体まで明かす必要はないんじゃないだろうか。何を考えてるんだこの坊ちゃんは。
チラリと兄を見ると若干驚いているようだった。
「いやはや、男の子だとは思ったけどまさかルズベリー伯爵家の方だとは。それで、妹の勤め先の方が何の用ですか？」
なぜ兄はお貴族様相手にそんな敵意丸出しなんだろうか。不敬罪ではないのか。と思っていると、何やらぶつぶつ呟き出し、何かに気づくと私の肩を掴んで言った。
「まさか！まさか、彼氏か！？だいぶ歳が離れているようだけど……そういえば、さっき近所の人にお前が中心街で彼氏っぽい人と一緒にいたって……じゃあ、こっちのグレンとやらか！？こんな短期間で、お兄ちゃんに黙って彼氏つくるなんて……悲しい、お兄ちゃんは悲しいぞ、ソフィー！！」
「違う！違うって！離して！！」
肩をガクガク揺らされ、泣きながら訴える兄。何がそうなってそれ程までに勘違いをしているのだろうか。アルバート様はなぜか楽しそうにしているし、グレンさんは哀れみの目を向けてきているような気がする。すみません。うちの兄がすみません。
「私が帰省するって言ったら領地の視察も兼ねてってアルバート様もついていらっしゃったの。グレンさんはアルバート様の執事だから一緒に来ることになっただけ！」
「なんだ、そうだったのか」
先程までの喚きを止め、兄はケロッとした様子で二人に向き直った。
「取り乱してすみません。かわいい妹のことになるとどうも気持ちが昂ってしまって。改めまして、ソフィーの兄でこの店の店主のロイです。どうぞよろしく」
先程の情けない姿と打って変わって、ハキハキした様子で喋る兄。……普通にしてたらもう彼女くらいできてそうなんだけどなあ。
「さっきも言ったけど、俺はアルバート・ルズベリー。あまりかしこまらなくて大丈夫だ」
「自分はアルバート様の執事のグレンです」
「お貴族様の口に合うかはわからないけど、何かご馳走しますよ。お昼食べてないでしょ？」
兄はそう言って厨房へと向かった。
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お芋(プロフ) - シャル＠如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます！お褒めに預かり光栄です！頑張ります。ありがとうございます！！ (2019年9月18日 19時) (
レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル＠如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！早速読ませていただきました！凄く分かりやすくて良い小説ですね！何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お芋 | 作成日時：2019年9月6日 17時
