十話 帰省一日目 ページ23
「いいか!グレンと俺……いや、あたしは途中でソフィアと出会った旅行中の兄妹って設定だから、ボロを出さないでよ!」
「はい、アルバー……アリス様」
「違う!アリス"ちゃん"!あと、敬語はなしだから!」
帰省初日、ウィッグというものを被り、黒髪になったアルバート様、いやアリス様、いやアリスちゃんは平民の服を着てたいそうご機嫌だった。彼が言った通り、私たちはそういう設定で行くことになる。知り合いにも多く会うだろうし、誤魔化しが効きやすいからだ。
チラリと隣を見ると、私服姿のグレンさんがいた。執事服しか見ていなかったから違和感がすごい。
「……なんですか」
「いや、執事服しか見たことなかったので珍しいなあって」
「それはこっちのセリフでもありますけど」
かく言う私もメイド服から久しぶりに私服に着替えていた。髪もお団子ではなく、店で働いていた時のようにポニーテールにしている。
「……あなたはそちらの方がしっくりしていますね」
「え?」
「だよなー!ソフィア、メイド服に着られてる感まだあるもん」
「な!?こ、これでも毎日頑張ってるんですからね!」
「敬語!」
「が、頑張ってるんだから!」
こうして、非常に非常に騒がしい私の帰省一日目が始まった。
△▼△▼△▼
「つ、疲れた……」
ここは伯爵領の中心街広場。私はベンチに腰かけ、疲れ果てていた。
伯爵家本邸は内陸の小高い丘の上にあり、私の家は海の近くにあるため多少距離がある。アルバート様もいるので馬車に乗ろうとしたのだが、あの坊ちゃんは『街の視察だ!』と言って徒歩を選択した。途中の道は多種多様な店がズラーッと立ち並んでいる。完全にそこで遊びたいだけではないだろうか。
私も最初はアクセサリーやら小物やらの店に付き合っていたが、あのハイテンションとハイペースについていけず、脱落して今に至る。
(……グレンさんたち、遅いな)
一応、先に広場に行って休んでることをグレンさんには伝えておいた。アルバート様はまだまだ店の"視察"とやらに時間がかかるらしい。
ふと、近くの店に置いてあるものが目に入った。
(これ、いいかも)
私はベンチから腰を上げ、店に入った。
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お芋(プロフ) - シャル@如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます!お褒めに預かり光栄です!頑張ります。ありがとうございます!! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル@如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!早速読ませていただきました!凄く分かりやすくて良い小説ですね!何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お芋 | 作成日時:2019年9月6日 17時