フーシャ村【３】 ページ5
『そんな事言われても…。ご飯食べてたら向こうがいきなり絡んできたんだよ』
「どうせお前が煽ったんだろうに」
『ははっ、まあね！…ていうか、この店木造だけど、大丈夫？火事とかちょっと洒落にならないんだけど』
「…ふん、俺はそこまで馬鹿じゃない」
赤髪の男がそう言ってパチンッと指を鳴らすと、"ほのおのうず"は一瞬にして掻き消えた。残ったのは、黒焦げの骨のみ。山賊の頭の姿は何処にもない。
『あー、もう。やるなら跡形もなく燃やしてくれよ。飲食店でこんなの見せられて、周りの人が可哀想だろ？』
「そこまでする義務はない」
『全く…』
ごめんね、と少年、Aがマキノと周りの客に謝り、そして立ち竦んでいた仲間の山賊たちに視線を向けると、彼らは顔を真っ青にして酒場から一人残らず逃げて行った。
『うわ、あの人たちボスの骨、そのままにしていったよ。持って帰ってねって言うつもりだったのに』
「所詮この男はその程度だったんだろう」
『そっかあ』
Aは靴先でコツンと頭蓋骨を蹴ると、テーブルにお金を置いて赤髪の男のもとへ歩きだす。マキノにご馳走様でした、と笑顔で挨拶をするのを忘れずに。
『じゃあ、行こうか。…お店の人が困るから、責任持ってちゃんと全部燃やせよ？ギャロップ』
「……はぁ」
Aがそう言うと、男は深い溜息を吐いて、再び指を鳴らした。すると先ほどと同じように骨が炎に包まれ、そして炎が自然と消えた頃には何も無くなっていた。
「な、何だったんだ…？」
しばらく店に残った全員が呆然としていると、客の一人が、震えた声で呟いた。酒場の入り口には、もう誰もいない。炎に気を取られている隙にいつの間にか去ったのだろう。
賑やかだった店内は今や静まり返っていて、外は既に太陽が沈んで暗かった。
＊
そんな暗がりの中、真っ赤に燃える鬣をはためかせ、小柄な少年を背に乗せた美しい馬が、地面を風のように駆け抜ける。
『ふあぁ…』
Aは片手でギャロップの鬣を掴み、器用にバランスを取りながら大きな欠伸をした。
『ふふふ…ギャロップ温かいから、眠くなってきた…』
《ブルル！》
頬を緩ませ、身体を預けるようにAが背にもたれかかると、ギャロップは鳴いてAを叱りつける。だが、Aはお構いなしに眠ってしまった。
《……》
ギャロップはそんなAを見て、仕方がない奴だ、と言わんばかりに首をやれやれと横に振ると、速度を緩めてゆっくり歩いていった。
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ノルン(プロフ) - めっちゃ面白いし続き気になるけど大分更新されてない…しんど (2021年9月7日 20時) (
レス) id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
兎羅-トラ-(プロフ) - とっても面白いので是非更新を… (2020年6月11日 15時) (レス) id: 069fc92e8a (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルですよ｡(プロフ) - 良いですねぇ……ゾロアークのキャラ。いかにもくるっているというか、まさしく戦闘狂というキャラで……。忠誠心高いルカリオやお兄さんみたいなギャロップも好きですわぁ…。更新お待ちしております！ (2018年8月5日 19時) (レス) id: f82c9121cb (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ（ルナ）(プロフ) - 面白いです！前作から見ていて、更新頑張ってください！ (2018年2月4日 5時) (レス) id: bc62a29e53 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーパープル(プロフ) - 今更ですが、「自由が一番だと思うのですが」から見ています。 (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1b34d3a9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎 | 作成日時：2017年3月28日 17時
