トニートニー・チョッパー【１】 ページ20
グツグツと沸騰する鍋をお玉でかき混ぜる。いい匂いが森の中を漂い、グゥ…と誰かの腹の虫が鳴いた。
『ギャロップー、ご飯まだ？』
「まだだ。他の奴も帰ってきてないしな」
Aの声にギャロップは素っ気なく答える。それを聞いてAは項垂れ、簡易テーブルの上に並べられた料理をじっと見つめる。どれもこれも美味しそうだった。
「…よし全部完成だ。エーフィ、テーブルまで運んでくれ。ラプラスは消火を頼む」
「ええ。任せて」
「わかりました！」
エーフィが"サイコキネシス"で鍋を運び、ラプラスが"みずでっぽう"で火を跡形もなく消した。
「…んお？もう飯かぁ？」
『あ！ゾロアーク遅いよ！…あれ、ルカリオとアブソルは？』
「ああ？知らねえな」
木の上から飛び降りてきたゾロアークにAが訪ねる。三人は、主に売ってお金にする為の獲物を狩りに出かけていたのだ。
自由奔放なゾロアークならまだしも、真面目な二人が時間になっても帰ってこない事に少し不安になった。
「あの二匹がくたばってるなんて考えられないがな。一応様子を見てくるか」
『僕も行く。ギャロップ、背中に乗せてくれ』
Aがそう言った時だった。
「……遅れたか」
「ああ、マスター…！申し訳ありません、食事の時間に間に合わなくて…」
ガサガサと木の葉を踏んでこちらに歩いてくる影が二つ。探していたアブソルとルカリオだった。
『よかったー！何かあったのかと思ったよ！』
「本当にすみません…いかなる罰でもお受けします」
跪き、深々と頭を垂れるルカリオに、Aは笑いながら『大丈夫だよ』と彼の肩を叩いた。
「…我が主よ」
『ん？…何？これ』
静かにアブソルが声をかける。そしてAに袋を突きつけた。Aは驚きながらも受け取り、そして開けた。
『……子鹿？』
その中には、小さな鹿のような生き物が泡を吹いて気絶していた。
「ええ。狩りの途中で見つけたのですが…少々変わってまして」
「……二本足で、走っていた」
『鹿って四足歩行じゃなかったっけ？』
Aはこの世界で見た鹿を思い浮かべる。彼らは確かに四足歩行だったし、自分の世界でも似たような生き物であるシキジカも同様だ。
「珍しいモノでしたので、是非ともマスターにお見せしたいと思い追いかけていたら、このような遅刻を…」
「…悪かった」
『いいよ。無事に帰ってきたんだし！さ、ご飯に』
「ギャアアアアッッ！！！」
突然、袋から悲鳴が轟いた。
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ノルン(プロフ) - めっちゃ面白いし続き気になるけど大分更新されてない…しんど (2021年9月7日 20時) (
レス) id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
兎羅-トラ-(プロフ) - とっても面白いので是非更新を… (2020年6月11日 15時) (レス) id: 069fc92e8a (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルですよ｡(プロフ) - 良いですねぇ……ゾロアークのキャラ。いかにもくるっているというか、まさしく戦闘狂というキャラで……。忠誠心高いルカリオやお兄さんみたいなギャロップも好きですわぁ…。更新お待ちしております！ (2018年8月5日 19時) (レス) id: f82c9121cb (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ（ルナ）(プロフ) - 面白いです！前作から見ていて、更新頑張ってください！ (2018年2月4日 5時) (レス) id: bc62a29e53 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーパープル(プロフ) - 今更ですが、「自由が一番だと思うのですが」から見ています。 (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1b34d3a9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎 | 作成日時：2017年3月28日 17時
