青雉【２】 ページ18
「どうしますか、マスター。倒しますか」
ルカリオは拳を構え、今にも襲い掛かりそうだった。事実、Aに指示された瞬間、青雉に攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。
『さて、どうしようか。…まあ、相手がこのまま何もせずに去るっていうなら、僕も穏便に済ませるつもりなんだけど』
「…悪いが、そりゃ無理だ。天竜人を殺害した時点でお前たちの死刑は決まっている。だからここで…」
ーーお前たちを殺す。
「アイス塊、両棘矛！」
その言葉と同時に、氷で出来た槍が次々とAたちに襲いかかる。
『アブソル、"かまいたち"！』
《ガアァッ！》
しかし、その全てが空気の刃に阻まれ、そして砕け散った。目を見開く青雉。ニヤリと笑うA。
『ルカリオ"はどうだん"！』
「了解しました！」
無防備となった青雉に、ルカリオは"はどうだん"をお見舞いする。青雉はとっさに氷で壁を作り、なんとか凌いだ。
「…厄介だな」
ゆっくりと、頬を冷や汗が流れる。彼は焦っていた。何故なら、今までに戦ってきた者たちと、明らかに今回の相手は格が違った。
油断したら、殺られる。
「アイスBALL！」
『っ！？』
しかし、それなら油断しなければいい。見ている限り、相手に弱点がない訳ではない。むしろ、大きな穴があった。
青雉は腕をAに向ける。冷気が辺りを漂い、Aは氷塊に閉じ込められた。
そう、弱点とは不思議な生き物を指揮しているA。彼は生き物たちのブレーンであり、どうやら戦闘能力はない。頭がいなくなれば、自然と下の奴らも使い物にならなくなるだろう。青雉はそう思った。
『僕を先に潰そうとしたのは賢いけれど…残念でした！』
「！？」
だが、閉じ込め固めた筈のAの声が、背後から聞こえた。青雉は慌てて振り返る。そこには炎の馬と、その馬の背に乗るAの姿があった。
『よぉく、見てごらんよ。あの氷塊を』
ニヤニヤと笑って、Aは指をさす。見てみれば、確かに氷の中にはAの姿があった。
どういう事だと、青雉が混乱したその時。ぐにゃりと空間が歪んでいく。そしてーー
「なに…っ！」
氷の中のAの姿が消えた。
《ギャハハハッ！》
「ッ！」
誰もいなくなった氷塊のとなりに、黒い狐がゲラゲラと腹を抱えて大笑いしている。
呆然とする青雉に、勝ち誇ったような表情でAは言った。
『幻を見せられた気分はどう？』
この時。青雉は初めて、今この状況の恐ろしさを感じたのだった。
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ノルン(プロフ) - めっちゃ面白いし続き気になるけど大分更新されてない…しんど (2021年9月7日 20時) (
レス) id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
兎羅-トラ-(プロフ) - とっても面白いので是非更新を… (2020年6月11日 15時) (レス) id: 069fc92e8a (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルですよ｡(プロフ) - 良いですねぇ……ゾロアークのキャラ。いかにもくるっているというか、まさしく戦闘狂というキャラで……。忠誠心高いルカリオやお兄さんみたいなギャロップも好きですわぁ…。更新お待ちしております！ (2018年8月5日 19時) (レス) id: f82c9121cb (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ（ルナ）(プロフ) - 面白いです！前作から見ていて、更新頑張ってください！ (2018年2月4日 5時) (レス) id: bc62a29e53 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーパープル(プロフ) - 今更ですが、「自由が一番だと思うのですが」から見ています。 (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1b34d3a9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎 | 作成日時：2017年3月28日 17時
