青雉【１】 ページ17
『うわ…あの人そんなに偉かったんだ』
天竜人を始末し、その足で海を渡って小島に辿り着いたA。彼はボールからポケモンを全員出して、皆でお菓子を食べていた。
そんな時、偶然新聞が飛んできてAの目の前に落ちた。Aはそれを拾い見てみると、新聞の見出しに大きく〈天竜人殺害！〉と書かれており、今なお犯人を追っていると綴られていた。
『しまったなぁ。確かに刺激は欲しいけど、追われるのは面倒だ』
そう言って、側でお菓子を頬張っているアブソルの背を優しく撫でる。
『まあ、僕のポケモンが負ける訳ないけどね』
《……ガウ》
「おーい、そこの兄ちゃん」
突然声をかけられた。声のした方向を見てみると、いつの間にか氷漬けになっている海の上で自転車に乗っている男の姿があった。
「休憩中に悪いね…少し話を聞かせてもらいたいんだが」
『いいよ！何の話？』
男は自転車を止めて、こっちに歩いてくる。Aは残っていたお菓子を口に全部放って食べると、笑って頷いた。
「お前さんが食べてたその菓子は、近くの王国で買ったモノだろう。その王国で尊い人が殺されてねぇ…」
『それはそれは。で、それが僕と何の関係が？』
そうごまかしながらAはちらりと新聞を見る。随分と早い到着だ。逃げようと思っていた訳ではないが、嗅ぎつけられるのはもう少し後だと予想していたのに。
「その現場にいた人によると、実行犯は青髪の大柄な男だったらしいんだが、そいつと一緒にいたのが、兄ちゃんみたいな黒髪黒目の少年だったと証言しててな」
片っ端からその容姿の人たちに話を聞いてるんだ。男はそう言った。
『なるほど…でも、僕は知らないよ。第一、ここには青髪の男がいない』
「まあ、確かに」
『…と、言いたい所ですが』
Aはパチンッ！と指を鳴らす。すると六匹の獣が一斉に戦闘態勢をとる。
『あの王国には黒髪黒目の人なんて沢山いただろうにもかかわらず、わざわざこの小島にまで探しに来たって事は、もう完全に僕に的を絞ってるよね』
「……」
男は何も言わない。しかし、その表情だけで察しはつく。
『隠してた訳じゃないから、正直に言おう。…ルカリオ』
《ガウッ！》
身体が光り輝き、そして形が変わっていく。
『青髪の大柄な男…それ、この子じゃないかな』
「…随分、潔いことで」
彼、青雉は苦笑いを零す。黒髪黒目の少年と、青髪の大柄な男。まさに証言通りの二人が、今まさに目の前にいたのだから。
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ノルン(プロフ) - めっちゃ面白いし続き気になるけど大分更新されてない…しんど (2021年9月7日 20時) (
レス) id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
兎羅-トラ-(プロフ) - とっても面白いので是非更新を… (2020年6月11日 15時) (レス) id: 069fc92e8a (このIDを非表示/違反報告)
キャラメルですよ｡(プロフ) - 良いですねぇ……ゾロアークのキャラ。いかにもくるっているというか、まさしく戦闘狂というキャラで……。忠誠心高いルカリオやお兄さんみたいなギャロップも好きですわぁ…。更新お待ちしております！ (2018年8月5日 19時) (レス) id: f82c9121cb (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ（ルナ）(プロフ) - 面白いです！前作から見ていて、更新頑張ってください！ (2018年2月4日 5時) (レス) id: bc62a29e53 (このIDを非表示/違反報告)
ブルーパープル(プロフ) - 今更ですが、「自由が一番だと思うのですが」から見ています。 (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1b34d3a9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎 | 作成日時：2017年3月28日 17時
