検索窓
今日:419 hit、昨日:1,229 hit、合計:631,558 hit

18話 ページ19

_

シンガポールといえばやはりこの夜景か。
57階にもなるらしいこのサイドデッキに腰かけていれば、満月もいつもより大きくみえる気がした。

ホテル、マリーナベイ・サンズの屋上プールは宿泊者限定の贅沢な空間。
二度と行く機会などないかもしれないからと、カップルや家族連れが並ぶ中で、ひとり私は心ゆくまで満喫している。


あのあと、レオン先生の家を出たのは数時間前のことだ。
ホテルに着いた頃には、すっかり日も暮れていたが、園子、蘭と連れ立ってさっそく夜のプールへとくり出した。
その後、園子はホテルに戻ってきた京極さんに会いに行って、蘭はプールの中へ。私はといえば、水着を持ってきていなかったから、こうして外から楽しんでいるというわけ。

それにしても、新一は今頃どうしているのだろうか。
地上200メートルに吹き込む風にその思いを馳せた。

新一、つまりアーサーヒライの方である。
ホテルに着いた頃には、いつの間にかその姿はなかった。現地の子供という設定を装っているからして、ホテルまでついてくるわけにはいかないのは仕方ないが、身を寄せるところもない。

新一に変装した快斗はこんなに素敵なホテルに泊まっているというのに、当の本物は宿無しというのは少々かわいそうというか___。



「お、ちょうどいいところにいんじゃねえか」
聞きなれた日本語がすぐそばから私を呼んだ。


「…前言撤回、全然かわいそうじゃない」
「なんのことだ?」
「こっちの話」
すっかり現地の子供に馴染んだアーサーヒライはいつのまにか私の横に立っていた。
タイミングがいいのか、悪いのか。彼もたいがい神出鬼没である。


「今までどこ行ってたの」
当然の疑問を投げかければ
「まあ、ちょっとな」
答える気のない返答をついた。

「まあ、なんにしても泊まれたんだね」
「泊まるって……。やべ、そういや考えてなかったぜ……」
「え?どういうこと、チェックインして入ってきたわけじゃないの?」

先も述べたが、ここは宿泊者限定。ここにいるということはつまり、無事に宿が決まったということだと思ったのだが、それではまるで違うとでも言うようだ。

まさか突然降ってきたとは言うまい。本当に神出鬼没だと、もはや笑えないものを目の前にしていると、彼も彼で苦虫を嚙み潰したような顔をしている。

この小説の続きへ→←17話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (235 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
771人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 怪盗キッド , 紺青の拳   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

くり - 続きを読みたいです!パスワードを教えていただきたいです! (4月24日 18時) (レス) id: b0169ec3e3 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - パスワード教えていただきたいです (4月23日 4時) (レス) id: fefd0b677e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 面白いです!続き気になるのでパスワード教えていただけませんか? (4月23日 0時) (レス) @page19 id: 544fb55cbc (このIDを非表示/違反報告)
kulomi(プロフ) - 凄くおもしろかったです!続きを読みたいのでパスワード教えていただけませんか? (4月21日 16時) (レス) id: 99d597c65c (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きを読みたいのです!パスワード教えていただいてもいいですか? (4月20日 18時) (レス) id: b0169ec3e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Frisk | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月7日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。