【怪盗キッド】怪盗さんとバカは。12

533話 ページ9

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刺すような冬の寒さは、得てもいない喪失感を思い起こす。


その日、一人足早に自宅へと向かった帰路は特に何もなく。
そんな調子は二、三日と続いた。そしてその二、三日の間にも彼はクラスの何かの準備とかだとか言って、見たことのあるツインテールの女の子に呼ばれたり、これまで日直をサボった分だとかで朝早くに行ってしまったり………と。
パッタリと快斗と会う機会が減ったのであった。
もともとクラスもちがうので、学校で会うことがないのはいつものことではあったが、こんなに小さなきっかけでなんの接点もなくなるのだと知る。


しかし逆に言えば、変化はその少しだけ。

あれ以来、全ての物事についてなんの音沙汰もない。手紙の事だってただの嫌がらせだったのではないかと思い始めるほど、平和な日々が続いていた。
……そもそもずっと尾けられているならば、快斗が気づかないはずもなかったのだ。

何もないというのに、今更心配をかけるようなことを言うだなんて、まるで構って欲しいようではないかと思い直すようになる。
めんどくさい……なんて思われたくない。嫌がられたくもないし。
そんなことを考えだすと、ますます言い出す気も失せた。


そして、今日もその例外ではない。
2-Bのクラスへと階段を登って覗いてみたけれど、その楽しそうな様子に、断られたわけでもないが引き返して一人で校門を出た。
マフラーを巻いて暖を取る。
12月ももう、20日にまで迫っていた。だというのに、クリスマスの足音は、もう感じることすらなくなっている。






__そんなのだったから、急な電話にはびっくりしたもので。

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