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530話 ページ6

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二階からカーテンの端をゆっくりとつまんで、恐々と外を見る。そして、安堵。快斗と青子ちゃんはいつも通り、私の家の前で待っていてくれていた。
制服に着替えた私はそれだけ確認すると、家の鍵はしっかり閉めて
「おはよう」
急いで彼らの中に入った。周りを少し見てみるも……特になんの違和感も感じないいつも通りの朝だ。
真っ先に明るい青子ちゃんの声が返ってきて、またそれに一安心。彼女の話に相槌を打って歩く登校道は、余計なことを考えずに済んで気が紛れた。
快斗はいつもの如く、眠そうについてくるだけ。……今、言うのは無理だよね、と青子ちゃんの顔を見る。彼女がどこまで知っているのかはわからないけど、でも彼女に言うのはやはりどうしても憚れた。

「ん?どうかした?」
しかし、別のことを考えているのはバレてしまったみたいで。
「ううん、なんでもない」
笑って誤魔化せば、彼女も気にしなかったように話を続けた。迷惑ごとには巻き込んじゃダメだもんね、と彼女のことを見た。
では、快斗になら甘えてもいいのかと自問が浮かんで。結局答えは出ないまま、なんの問題もなく学校に着いた。

学内は人が多いせいか安心して時間が過ごせる。授業中は眠気に襲われて、何度も意識が遠くなったけど、それだけで寝不足が解消されるほどではない。そんな風にあっという間に時間は過ぎると、気付けば放課後。
どのタイミングで快斗に話そうか、と考えて2人になった時でいいか、と。私の家に寄ってくれる時に話せたら大丈夫。教室を出て廊下に出ると
「あ、快斗」
彼は1人で待っていた。
「青子ちゃんは?」
「青子は掃除」
そろそろ帰ってくると思うけど、と付け加えた。そっか、と私は彼の横に並んで壁にもたれると
「それより」
快斗が私の目の前に立った。キョトンと見上げると、彼は目を細めてジィと私を凝視してから
「オメー…なんか、あった?」
驚いた。
「朝から様子が変じゃねぇか?」気のせいならいいけど、と彼はわたしの目の下をなぞって
「寝不足だろ」
と。彼の断定的な口調に、私は思わず小さく頷く。
「なんか悩んでんのか?勉強なら教えてやんねぇこともねーけど」
相変わらず察しがよくて困る。しかし今回ばかりは勉強ではない。
反応の悪い私に彼はもう一度
「…なんかあったのか?」心配げな色を滲ませた。

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亜美(プロフ) - コメント失礼します!前から作品が好きでした!もう一度読みたいのでよろしければパスワード教えていただきたいです(><) (4月15日 2時) (レス) id: fbde56e50b (このIDを非表示/違反報告)
ころころ。(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったです!前作等の作品も気になるので可能であれば、パスワードを教えて頂きたいです🙇‍♀️ (4月11日 15時) (レス) id: 00f5510b14 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - コナン公開に向けてまた読みたいと思ってたのでとっても嬉しいです!!楽しみにしてます! (4月11日 10時) (レス) @page48 id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!ひゃー!めちゃくちゃ面白くて是非もう一度読みたいと思っていたので嬉しいです!無理せず頑張ってください!応援してます!!! (3月6日 20時) (レス) @page48 id: 6ea4e387cc (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったので前作をもう一度読みたいので、良ければパスワード教えていただきたいです🙇‍♀️ (2月24日 10時) (レス) id: 7c015ce2b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Frisk | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月3日 23時

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