検索窓
今日:34 hit、昨日:125 hit、合計:137,132 hit

567話 ページ47

_


「だからね、絶対羨ましかっだはずなんだよね〜機動隊の服!」
着せて見せたことだろうか。彼女は屈託ない笑みを咲かせる。
嬉しそうに揺れている、その後ろ姿を見て

「____私、青子ちゃんって将来、警察官になりたいんだと思ってた」

その言葉に妙に腑に落ちた。どちらにしても、これは私の最適解だったのだが、彼女にしては、この言葉は突飛だったのだろう。

再度振り返ると目をパチクリさせ
「青子が?警察官に?」
ようやく、言葉の意味を理解したらしく、そう驚いたように返した。

「だから、機動隊の服とか着たいって思ったのかなって」
彼女のお父さんも立派な警察官だし。
それにこの服を借りた時だって一度着てみたかったから、と言っていたから、そうなのだと思っていたのだ。今、彼女の言葉を聞くまでは。

彼女は頷くと
「もちろん、警察官はかっこいいし、お父さんもすっごくかっこいいよ!……でも」
別に警察官になりたいって考えたことないなぁ、とピンときてないように首を捻るのであった。
「将来かぁ…………………。」
それから、私の言葉を反復し、逡巡する。
そうしてしばらく。


「青子は、ふつうでいいよ!」
彼女は、目を向ける先は変えないで、その瞳に将来を描いた。私ではない。信じて疑わないように、顔を破綻させる。
それから、彼女は照れたように、少しはにかんで

「だから、えっと……、幸せになれたらなぁって」
彼女はどことなく歯切れ悪くそう答えを出した。



それは、漠然とした幸せを浮かべるようで、しかし確かに温度を持った答えでもあったのだ。

私も幸せになれたらな、とぼんやりと考える。
その幸せとは、彼女のものと重なりそうで、しかし決して交わることはないのだろうと、わかっていた。

お知らせ→←566話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (327 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1436人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

亜美(プロフ) - コメント失礼します!前から作品が好きでした!もう一度読みたいのでよろしければパスワード教えていただきたいです(><) (4月15日 2時) (レス) id: fbde56e50b (このIDを非表示/違反報告)
ころころ。(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったです!前作等の作品も気になるので可能であれば、パスワードを教えて頂きたいです🙇‍♀️ (4月11日 15時) (レス) id: 00f5510b14 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - コナン公開に向けてまた読みたいと思ってたのでとっても嬉しいです!!楽しみにしてます! (4月11日 10時) (レス) @page48 id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!ひゃー!めちゃくちゃ面白くて是非もう一度読みたいと思っていたので嬉しいです!無理せず頑張ってください!応援してます!!! (3月6日 20時) (レス) @page48 id: 6ea4e387cc (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったので前作をもう一度読みたいので、良ければパスワード教えていただきたいです🙇‍♀️ (2月24日 10時) (レス) id: 7c015ce2b9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Frisk | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。