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563話 ページ43

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切羽詰まったそれに、どうしたの、と言うより先に
「お父さんもうここにきちゃった!急いで着替えなきゃ!」
再度、少年のお父さんに視線を戻すと、ちょうど今、中森警部と話をしているところだった。それなりに偉い人のようで。

「い、急いで!」
「ぇあ、もう!?」
「見つかったら怒られちゃう!」
「わ、ちょっ……ちょっと待って……!」
しかし、それを見ている暇もなく、彼女に手を引かれるまま部屋を飛び出す。


____あまりにも早い着替えを見せた青子ちゃんに置いていかれ、追いかける形で部屋に戻った時には、中森警部と、快斗と青子ちゃん。それに加えて、少年のお父さんであるジャック・コネリーさんとその息子のケンタ・コネリーくんが5人で話しているところであった。

どうやら、少年は秘密で養護施設を抜け出してお父さんに会いに来ていたらしく、青子ちゃんがそれを連れて帰るだとか。
もともと青子ちゃんは、中森警部にお弁当を届けるために来ていた体だったらしく、帰るついでとのこと。
予告時間が近づくにつれて、警察関係者以外が立ち入り禁止になるのは当然だ。
言わずもがな私も、帰る一択となる。

車で向かっているらしい、白馬くんが上手いタイミングで来たならば、残れる可能性もあるが……まあ快斗はいい顔をしないだろう。それも見越して、白馬くんはそんなことを言うのだろうけど。
相変わらず、仲良く対立する二人が目に浮かぶ。


そして、ここにも帰りたくない人物が一人。
「えぇ〜、まだいたい!」
部屋を出たのはいいものの、廊下に出たきりしゃがみ込んで動かない少年。よほど、お父さんが好きなのだろう。
「ボクもパパと一緒に悪いやつをやっつけるんだ!」
「ここは青子のお父さんに任せて、ケンタくんはもう帰ろ?」

どうやらケンタくんは、昨日の夜からずっとこの美術館のトイレに隠れてこの日を待っていたようだ。その熱い思いは相当なものなのだろう。青子ちゃんの説得にも、その首をなかなか縦には振らない。

「……あれ?まだいたのかよ」
そして遂に、部屋で警部と話していたはずの快斗まで合流してしまった。
こちらに目をよこした彼に
「うーん、なんか帰りたくないみたい」
「へぇ」
快斗はそのまま少年の目線に合わせると、
「気持ちはよーくわかるけど、あんま親父さんを困らせんじゃねーぞ」
と諭した。

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亜美(プロフ) - コメント失礼します!前から作品が好きでした!もう一度読みたいのでよろしければパスワード教えていただきたいです(><) (4月15日 2時) (レス) id: fbde56e50b (このIDを非表示/違反報告)
ころころ。(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったです!前作等の作品も気になるので可能であれば、パスワードを教えて頂きたいです🙇‍♀️ (4月11日 15時) (レス) id: 00f5510b14 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - コナン公開に向けてまた読みたいと思ってたのでとっても嬉しいです!!楽しみにしてます! (4月11日 10時) (レス) @page48 id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!ひゃー!めちゃくちゃ面白くて是非もう一度読みたいと思っていたので嬉しいです!無理せず頑張ってください!応援してます!!! (3月6日 20時) (レス) @page48 id: 6ea4e387cc (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったので前作をもう一度読みたいので、良ければパスワード教えていただきたいです🙇‍♀️ (2月24日 10時) (レス) id: 7c015ce2b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Frisk | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月3日 23時

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