黒羽くんお誕生日おめでとう! ページ41
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「そっちのクラスはねぇの?」
「そんな変な企画してるのはB組だけだよ」
「へぇ」
同じクラスだったなら、誰よりも先に。
きっと今のタイミングで誘えただろう。
だが、こんなに自然に切り出すこともきっとできていなかった。
ゲレンデを軽やかに滑る彼の後ろ姿を目で追いながら、何度それを望んだか分からないのに。
さまざまな想いが駆け巡って、顔は下がると自嘲気味に軽く息をついた。
すると
「…なんか、顔赤くね?」
不意に、覗き込んできた彼の蒼い瞳とぶつかった。刹那、心拍数が上がる。私の心臓は実に単純な作りなのだ。
「ゆ……雪やけかな」
頬に手を当てる。
「それとも暖房のせいか_____」
ぴとり、と。
「ッ……!?」
息が止まる。頬に当たる少しだけ温度の低い、彼の手の甲に
「別に熱ってわけではねぇのか」
そう言うわりには、彼の明後日の方向の視線は、見つめ返した私とは合わなかった。
「……まあバカは風邪ひかないって…いうしな」
「そういう快斗も赤いけど」
「俺は風邪かもな」
「暖房でしょ」
「だな」
今度は目が合う。無邪気に笑う彼は立ち上がった。
「じゃあ、暑くなっちまう前に帰るか」
そろそろそんな時間か。残念な気持ちにうしろ髪ひかれながら、頷く。
筋肉痛に響かないようにと、私もゆっくり立ち上がろうとすると
「運動不足が祟ってんなぁ」
目敏い彼は、当然気付くのである。
「バキバキで大変なんだから」
「それなりに滑れてんのに、筋肉痛にはなんだな」
「うそ、見てたの!?」
「コケてたとこもな」
「あ、あれも!?一回しか転んでないのに!」
「そりゃ、ラッキーなとこを見れたもんだぜ」
軽快に笑った彼が、自然と私に手を伸ばしている。
私も意識しないように、その手を掴む。軽い力で引っ張られて、立ち上がった私を確認すると
「んじゃ帰るとすっか」
歩き始める快斗。
高鳴る鼓動に熱い頬。
彼が抱えるペットボトルも、すでに温くなってしまっているに違いない。
アイスならきっと溶けていた、そう考えに至って_________。
「ん、どした?」
足を止めた私に、彼は振り返る。
「………別に!なんでも!!」
きっとこの時の私は、今日一番の笑顔だった。
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後書き
快斗くんお誕生日おめでとう!
誕生日の短編ではないのですが、記念という事でスキー合宿のお話をちょっと書いてみました…!
本日は彼の誕生日を全力でお祝いしたいと思います。皆さんも素敵な黒羽くんバースデーをお過ごしください…!
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亜美(プロフ) - コメント失礼します!前から作品が好きでした!もう一度読みたいのでよろしければパスワード教えていただきたいです(><) (4月15日 2時) (レス) id: fbde56e50b (このIDを非表示/違反報告)
ころころ。(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったです!前作等の作品も気になるので可能であれば、パスワードを教えて頂きたいです🙇♀️ (4月11日 15時) (レス) id: 00f5510b14 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - コナン公開に向けてまた読みたいと思ってたのでとっても嬉しいです!!楽しみにしてます! (4月11日 10時) (レス) @page48 id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
米(プロフ) - コメント失礼します!ひゃー!めちゃくちゃ面白くて是非もう一度読みたいと思っていたので嬉しいです!無理せず頑張ってください!応援してます!!! (3月6日 20時) (レス) @page48 id: 6ea4e387cc (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったので前作をもう一度読みたいので、良ければパスワード教えていただきたいです🙇♀️ (2月24日 10時) (レス) id: 7c015ce2b9 (このIDを非表示/違反報告)
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