【怪盗キッド】怪盗さんとバカは。12

557話 ページ33

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「じゃーん！どう！？どう！？」
だが、早速着替え終えたのは青子ちゃん。笑顔でターンを決めて見せる、余裕もある。
姿はまさに機動隊のそれ。
彼女のドヤ顔が、ヘルメットの下から輝いた。

「に、似合ってるよ」
声を引き攣らせながら私はそう答える。

「かっこいい！？」
「かっこいい、かっこいい！……でも私は…」
「ほら、早く着替えてよ！！一緒に驚かせに行こ！」

何度か渋ってみせたが、叶いそうになく。
彼女に押され押されで、私もゆっくりとそれに手をかけた。
彼女なりの気遣いだということは、わかっているから、どうも強く反対はできないのである。それに、どうしても着たくないというわけでもないし……。


そもそも、今回。

私がこうしてキッドの予告現場に、赴いているのは、彼女の発案だった。
当初、快斗は私が現場に来ることを頑なに拒んでいた。ナイトメアという凶悪な存在を知っているから、当然と言えば当然だ。


しかし、だからといって、ハイそうですかと引き下がる選択肢は、既に私の中にはなかったのだ。
その決断は、自分なりに一歩前進した結論だと思っている。


___たしかに、一線を引かれたと感じたあの日から。

さまざまな思いが、浮かんでは消えていた。

明るくて屈託ないところも、優しくてお人好しなところも。調子に乗ってヘマをするところも。でもやる時にはきっちりと、決めていく姿も。
完璧なんだなぁと、多分私は今まで、自分と比べてそう思ってた。


だけど、きっとそんなことはなかったのだ。

それが一体何なのか、なんて、私にはまだ解けそうにない難問だが。
だけどあの時ふと、車内で見せた面影が以前のものとそうであったように。

きっと、全部彼で、全部嘘なんかじゃない。

そんなの当たり前のことなのに、私たちはきっと知らなかったのだ。

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