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540話 ページ16

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溢れる涙が視界をぐちゃぐちゃにして、今の状況を明確に理解することを妨げる。ただ相対するその背中が、なによりも大きく見えて、それだけで私は助かったと感じたのであった。

だけど、それもほんの僅か。逃げるように去った男を一瞥するや否や、彼はすぐにこちらを振り返り、躊躇わず膝をついた。しゃがみ込む私と目線が合う。勢いよく両肩を掴まれる。

びちゃりと泥水が揺れる音。彼の瞳とかちあった。
服が…だなんて、場違いな考えがよぎっては、その深い蒼が奥底で鋭く光っているのを、みて。


____お、怒ってる。

あまりの剣幕に思わず固まる。

それはもう、私が何も言えないほどには、煮えたぎる炎のように青く揺れていたのだ。
言葉を荒げるわけでも、睨むような目つきであるわけでもない。
そうだというのに、こんなにも怒りを表に出している彼を見たことは、今までに一度だってなかった。
そしてその矛先は私ではなく、私を通して別の何かを見ているようで。

両の肩に更に力が込められる。

薄汚い換気口と、入り組む排気管に見下ろされて、暗がりに2人、沈黙は続いた。

ふと、行き場を無くしたみたいに、私からホロリと涙が零れ落ちて。

それにハッとした様子で顔を歪ませた彼は、上着を脱いだ。
それを私に被せると、そのまま

「……!」
服の温度と彼の熱が覆い被さるように、抱きしめられた。
熱い吐息が耳朶を染める。


「………ごめん…」
らしくもない、消え入りそうなそんな声に、もう大丈夫だと、そう声をかけたかった。
なのに
「……ッ……ぅあ……」
もう大丈夫なはずなのに、気持ちに反してぼろぼろと頬を濡らす涙は止まらない。
脳内でフラッシュバックしたのは、太い男の手と、ギラついた瞳だった。
また胸が苦しくなって、息をするのも荒くなる。もう大丈夫だと、快斗を確認するようにその胸元に顔を預ける。
夜の冷たい空気と一緒に、快斗の匂いがした。

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亜美(プロフ) - コメント失礼します!前から作品が好きでした!もう一度読みたいのでよろしければパスワード教えていただきたいです(><) (4月15日 2時) (レス) id: fbde56e50b (このIDを非表示/違反報告)
ころころ。(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったです!前作等の作品も気になるので可能であれば、パスワードを教えて頂きたいです🙇‍♀️ (4月11日 15時) (レス) id: 00f5510b14 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - コナン公開に向けてまた読みたいと思ってたのでとっても嬉しいです!!楽しみにしてます! (4月11日 10時) (レス) @page48 id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!ひゃー!めちゃくちゃ面白くて是非もう一度読みたいと思っていたので嬉しいです!無理せず頑張ってください!応援してます!!! (3月6日 20時) (レス) @page48 id: 6ea4e387cc (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - コメント失礼します!とても面白かったので前作をもう一度読みたいので、良ければパスワード教えていただきたいです🙇‍♀️ (2月24日 10時) (レス) id: 7c015ce2b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Frisk | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月3日 23時

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