・ ページ20
「俺って補佐だったからさ、執行官みたいに忙しくないし、かといって特攻隊みたいに外に出る役柄でもないんだよ」
「要するに暇人って事？」
「言い方〜！これでも幾つか小隊は引き連れてたし、雑務だってあったし！」
「でも割と？」
「暇だった！！タルの目から逃れて遊び回ってた！」
「お主とことん子供であるな？」
「うっせばーかばーか」
暇だったら誰だって別の事したくなるでしょーが。
「でもいいじゃん？たまたま俺が暇で不正入国したおかげで抵抗軍勝利した訳だし」
「暇で不正入国とか言うパワーワード」
「空から舞い降りた俺絶対かっこよかった」
「ナイフを投げつけてこなければ完璧だったでござる」
「だってどっちが幕府軍か分からなかったもん…同じ様な服着てたし」
「先手必勝が過ぎる」
「タルがそうしろって…」
「従順か」
勝った方が偉いのがファデュイですから…、口より先に手を出すのがいい子って言ってた。
「ってかそんな勝手な事してよかったの？」
「うん。タルより席次の高い執行官が許可出せば下位のタルは口出せないし」
「上司に向かって凄いズバズバいうじゃん」
「タルは上司ってより弟…」
「へぇ〜？」
「…あっっっ」
ヌッ、と影ができてあらびっくり。なんという事でしょう物理の授業を受けている筈のタルが後ろにいるではありませんか。
「やだぁぁ！助けてぇぇぇ！！」
「御愁傷様〜」
「花は添えるでござるよ」
「見限る！判断が！早すぎる！！つかお前なんでここいるんだよ授業受けろ！」
「特大ブーメラン…流石に物理の先生キレてるよ」
「うげ…言っておいてよ俺美少女なのでって」
「もう俺が言ってる。まぁそれで余計に怒らせたけど」
「お前のせいで草」
背後から捕縛されてじたばたしてる俺を後輩二人はドン引き顔で見つめている、助けるって選択肢はないのね分かります。
薄情者が！！！
「ほら、大人しく物理受けに行くよ」
「嫌に決まってんだ、ろっ！！」
するりとタルの腕から抜け出して屋上の端まで走る。
折角つまらない授業を抜け出してきゃわな弟を観察できるいい機会だったのに！！くそ！
「べーっ！！」
そのまま柵を飛び越え、一気に落下。これならあのタルだって追いかけてこられない。
「ははっ！凄く挑戦的じゃないか！やっぱりAは最高だね！」
「は？！嘘だろ？！」
結局同じ様に飛び降りてきたタルとの鬼ごっこは昼休みまで続いた。
勝敗？勿論俺が勝ったよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：光 | 作成日時：2024年1月22日 22時
