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タルタリヤSide
光彩を放つ桃色の瞳が特徴的な子だと思った。
防寒着を着ていても体の華奢さが見て取れる程細い。
女の子に間違えられても可笑しくないくらいなのに、中身はちょっとうるさい所謂残念な子。
見た目と中身がアンバランスで、何回困惑したか。
「ほら！親達喋ってるし、しょーがないから遊んでやる」
「たかが数個上だからって威張られても…」
「確認だけど俺達初対面だよな？？5分前に顔合わせたばっかだよな？？」
手を引かれてお袋達から離れた場所でナイフ投げを始めた。
結構簡単で、真ん中には当たらないけどこれならすぐに先制点が取れそう。
「じゃあ次は俺の番な…よく見てろよガキ」
途端に空気が一層冷えたのを肌で感じた。
桃色の瞳は冷え切って、まっすぐ的だけを狙っている。
え、と思った頃にはドスッと大きな音を立ててナイフが木に突き刺さっていた。
急所を一ミリもズレることなく、獲物は仕留められた。
「A…？」
「ん？どしたのガキ、まさか俺に勝てないって思ったの〜？？？」
「やっぱ喧しい子だよね」
「はぁぁん？！」
「あと俺はガキじゃない」
桃色の瞳は温度を取り戻して、Aはまた明るく俺に返事をしてくれる。
内心ホッとして憎まれ口を叩けばコロコロと表情が変わっていく。
温度差激し過ぎて、なんでこんなバカを俺は…と思ってしまう。
でもあの一瞬、ナイフで獲物を仕留めた瞬間のAがとても美しくて、かっこいいと思った。
それがAというバケモノとの出会いだった。
＿＿＿＿＿＿
「ほんとに行っちゃうの？」
「アヤ〜？その質問何回目だよ？」
「だって…」
「俺が母さん達の決定に逆らえるとでもお思いで？？出直せ」
数年後、Aはスネージナヤを出て璃月に引っ越すことになった。
親の仕事関係で引っ越すことはよくある話だけど、まさか自分の幼馴染がこうなるとは思ってなかった。
「また明日〜、そういえば俺明日引っ越すわ！」
「ふーん、また…………は？？？？？？」
昨日の夜の出来事である。
またねと言いかけて思考が停止した、なんでこんな大事なことをサラッと言うんだこの人間。
開けかけたドアを思い切りしめてAに詰め寄ると変な顔してると指摘してきた。
そりゃあ変な顔にもなるだろうがよ！！
「…そんな顔すんなって。ちゃんと手紙も出すよ、また来るし」
「約束破ったら真面目に刺し殺す」
「ふぁっ？！？！」
Aは最後まで間抜けヅラ。
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作者名：光 | 作成日時：2024年1月22日 22時
