学年一可愛い女 ページ1
タルタリヤside
都内の一角に聳え立つ大きな学園。全国から優秀な学生が集まる、その名もテイワット高校。
数々の著名人や某賞を受賞する逸材を輩出する有名高校で、髪型・髪色自由、アクセサリー自由、化粧・バイトOK。
学園指定のズボン又はスカートを履いていれば後は自由の珍しい高校。
そんなテイワット高校の2学年のとあるクラスに、学年一可愛いと噂される女の子がいる。
クリーム色のくるんとした二つ結びに、今にも零れそうな大きくてまん丸な桃色の瞳。
唇はぷっくりと色づき、ダボッとした真っ白なパーカーの袖から覗く手や腕は小さくて折れてしまいそう。
「…らしいよ〜A」
「へ〜！ま、俺が可愛いのなんて？円周率がπな位当たり前な話だし？いや〜今年も俺が一番可愛いかそっか〜！！」
「凄い嬉しそうで笑うんだけど」
そう、上記のなんとも可愛らしい女の子の話は俺の目の前にいるこの喧しい子。
名前をA。見た目は確かに学年、学園で見てもトップ。雑誌にいてもおかしくない。
でも中身が最悪。何てったってこの子、前世の記憶を引き継いでるせいで中身男のまま。
「Aさんとタルタリヤ超中良さそうじゃん」
「幼馴染らしいぜ、美男美女って絵になるよな〜」
残念、どっちも中身男です。可愛そうに、あの感じじゃ今週辺り告るだろうな。
Aも同じ事を思ったのかニマニマしている。くそ、おじさんだとわかってても可愛い。
「は〜、モテるあてくしってやっぱちょー可愛くて罪な人間♡」
「うわ何その一人称、見てよ超鳥肌たった」
「お前って毛穴あったんだ、イケメンにも毛穴ってあるんすね」
「何俺人外か何か？？」
捲った袖を元に戻していると、Aが徐に立ち上がった。まるで新しい玩具を見つけた様な顔だ。
「何、どこいくの」
「購買〜、炭酸買ってくる。タルにも何か買ってきてやるよ」
「じゃポッキー宜しく。てか俺が出すよ？」
「別にいいよ。わかったプリッツね」
ウキウキで離れていくAの袖を見ると人工的に萌え袖を作っている。あーあ、あの男子可哀そうに。
そしてAは俺たちの事を話していたクラスメイトの片方の首を小さく覗かせた人差し指で突いた。
「襟ボタン、外れてるよ〜」
「えっ、あっ…み！」
そうして顔を真っ赤にしたクラスメイトを置いてAはスキップで購買へと向かった。
結局そのクラスメイトは担架で保健室に運ばれた。
Aは完全に女の子を使って遊んでいるんだ。
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作者名：光 | 作成日時：2024年1月22日 22時
