・ ページ29
「あ、えっとね違うのディシア、これは」
「…お嬢様、何となくわかりますからとりあえずこっちに」
「え？あ、わかった。肩を貸してくれてありがとう」
「あはは、気にしないで」
お嬢様、と呼ばれた少女はディシアに言われるが儘僕の上から離れた。
やっぱり良家のお嬢様だったか、と思っていると、ふとディシアの目線が気になった。
護衛として、やはり大事なお嬢様の近くに見知らぬ男がいたら心配か。
「…安心してよ、脈を測った程度でその子にはあまり触れてないから」
「そう、か」
「そうよディシア、この方は私が倒れていたのを助けてくれたみたいなの」
ありがとう、と笑う少女に笑みを返すとディシアも安心した様に肩の力が抜けたみたいだった。
「あ、貴方の名前を聞いてないわ。お名前を伺っても？」
「僕はA。色んな国を巡ってるんだ」
「そうだったのね。私はドニアザード、こっちがディシアよ」
「…知ってるよ、エルマイト旅団の傭兵だよね」
そういうと二人は驚いた様に声を上げ、ディシアはまた警戒してしまった。
「ディシアは、神柱って知ってる？」
「…知ってるさ、スメールには古書や記述書が多いからな」
「僕がそれだよ」
「…は？？え、ちょっと待ってくれ」
「現に君の事も知ってるし、他の神の目の持ち主の事も知ってる」
何人か質問してくれていいよ、というとディシアはおずおずと二人の名前を出した。
セノとキャンディス、二人ともディシアとは接点がある神の目の持ち主だ。
「セノは教令院の大マハマトラで雷元素の持ち主だよね、キャンディスはアアル村のガーディアンで水元素…あってるでしょ？」
これで間違ってたら一生の恥だ、即刻セレスティアに帰っちゃうかもしれない。
でもディシアの表情を見るに間違ってないみたいだ。良かった。
「…本当に神柱様なのか？」
「うん。どんな風に記述されているのかは知らないけど、僕が神柱だよ」
複雑そうにはしていたが、何とか納得してくれたらしい。
やっぱり初対面の民に個人情報言うのはやめよう、不審者みたいになっちゃうな。
ディシアは何処か申し訳なさそうに「会えて光栄です」といい、お辞儀をした。
「畏まらないで、急に変な事言ってごめんね。その子を探しに来たって事は何か用事でもあったの？」
そう僕が問いかけるとディシアは思いだしたのかドニアザードに用事を伝えた。
どうやら療養中のドニアザードが抜けだした事に気づき探しに来たらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：光 | 作成日時：2023年9月17日 22時
