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少し慌ただしく動いていた時間も終わり、旅人達と合流した。
神子からスメールの話を聞いた旅人達は一度璃月に戻って、そのままスメールに行くらしい。
「スメールにはどんな美味しい物があるのかオイラ楽しみだ！」
「スメールは甘い物結構あるよ、割と野性的な場所が多いから作物も美味しいんだ」
「へぇ、じゃあ草神ってどんな神なの？」
「草神…ブエルは凄く聡明で優しい神だよ。民からも凄く慕われてる」
僕の友達でもあるんだ、と言えば二人は興味津々な様子で僕に色んな事を質問してきた。
草神ブエル、今はマハールッカデヴァータからクラクサナリデビに代替わりした。
セレスティアにいた時、一番僕を気にかけてくれたのがブエルだった。
優しくて温かくて、帝君とはまた違った気品さも相まって僕はブエルが大好きだった。
ブエルの事を思い出していると、旅人が嬉しそうに微笑んだ。
「どうしたの旅人、なんか嬉しそう」
「ふふ、A感情豊かになったなぁって。これが成長って奴かな？」
「え、そう？…自分じゃわかんないな」
むにむにと自分の頬を触ってみる。パイモンも同調してそうだぞ！なんて言う。
「モンドとか璃月前半は貼り付けた様な笑顔だったけど、後半とか稲妻は涙とか焦りとか怒りも見える気がして」
心境の変化でもあった？と旅人に聞かれた。旅人は本当に観察眼が鋭い。
控えめに頷くと旅人は満足そうににんまりと笑った。理由を促す様に脇腹をツンと突いてくる。
「僕が上の者と結んだ契約って〈民と神を守る〉って物だったんだ。でも世界は理不尽な事やどうしようもない事で溢れてるから、出来ない事もあるんだ」
「オイラそんな事やれって言われてもできないぞ…」
「あはは、でしょ？僕も。それに内容が凄く漠然としてて民や神の何を守るんだろうって」
命、信仰、生活。挙げればキリがない位この世界は守る物で溢れている。
それら全てを守るなんて全知全能でもない限り、というか全知全能でも無理だ。
「自分の使命と責任について考える内に自分は何なんだろうって考える事も多くなって…よく分からなくなった」
旅人は静かに頷きながら僕の目を見て話を聞いてくれた。
「でも、色んな事に深く濃く関わっていく内に見えてくる物もあったんだ」
僕が今までの旅路で掴んだ事。それらは単純だったけど僕にとっては何よりも大事な第一の答えだった。
「僕が守るべきは、民と神の本当の心と、この世界の秩序なんだって」
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作者名：光 | 作成日時：2023年9月17日 22時
