赤はそのまま流される ページ29
赤井秀一氏に言われた、安室透氏を探るというのはきっとこの人のコロコロ変わる表情のどれかだ。
強固な意思を持つ彼
人を殺しそうな彼
店員をしている彼
多分、真ん中の彼だ。
今の表情はどれでもない。
強いて言うなら、私の言っている意味がわからないからどうにか理解するにはどうしたらいいのか、それすらわからないといった感じだ。
「恋人には…」
そう言いかけると、安室透氏はジェット機のような速さで私の両手を掴んだ。
「それだけは真剣に考えさせてくれませんか。まだ決められていないんです。」
「えっ」
「お願いです。優先しなければならないことが多くて、貴女を待たせるかもしれません。ですが、貴女を心の底から…!」
「まっ」
あまりの圧迫感に上半身が倒れかけたところ、知らないうちに背中にまわっていた腕が支え、安室透氏の方に引き寄せられる。
目の前に迫る安室透氏の顔。
映画の時や看病してくれた時、今だって、目の前にすると嘘みたいに心臓が跳ねる。
イケメンなのが悪い。安室透氏だからじゃない。
「お願いします…」
仔犬のような目をするなっ…!か、可愛くなんか……
「時間をください」
別に……可愛いとか……
「僕には貴女しかいないんです…」
「もう一押し」
「赤いマフラーを差し上」
「待ちましょう。」
「よし。」
あ、しまった!!流れで…!
やってしまったなんて顔をしても、喜びに満ちている安室透氏の顔を見て、なんだかどうでも良くなって………いやいや!!よくないよくない!!
シャロンさんが安室透氏と関係があるけど、恋人じゃないのはよくわかった!けど違う!あまりにも急なことで流されてしまったが、これから安室透氏を徹底的に洗いざらい調べまくるんだ!!
「沖矢なんてやめて正解ですよ。僕は貴女を幸せに出来る唯一の人ですから。」
慈しむように私の手のひらを撫でてくる安室透氏にゾクッとした。
「やめてください、擽ったい」
「ああ、そんな所も愛おしいです。」
話を聞けーい。いつまで撫で回してるつもりだーい。
「私は待つとは言いましたが、貴方は恋人になると言ってませんよ。」
「いえ、もう婚約者も同然ですから、御安心を。」
安心出来るわけないだろうが。
「それに、貴女にとっても好都合なのでは?」
突然の上目遣いとその言葉に言葉を失った。
信念を持った目は私の心を見透かしていた。
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白亜(プロフ) - 深月さん» ありがとうございます!頑張らせていただきます (2018年12月4日 19時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - このジン好きすぎる!笑 続き楽しみにしています! (2018年12月4日 11時) (レス) id: 8705ebf4fc (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - りずりさん» コメントありがとうございます!頑張りますw (2018年11月10日 15時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
りずり - 続きが楽しみです!頑張ってください(●・ω・●) (2018年11月10日 14時) (レス) id: f9e3d4f71f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白亜 | 作成日時:2018年10月7日 10時