赤は勘違いしたまま ページ26
「君は鈍いのか鋭いのかわからないな。」
部屋を出ようとした時、そんなことを言われた。
振り返ると、真面目くさった顔つきで真っ直ぐこちらの様子を伺っていた。
口にくわえた煙草は火を付けたばかりのものだ。
「赤は、大好きなんです。」
私は赤井秀一氏の真似をして、余裕をかました。
覚悟なんてとっくのとうに決まっている。だって、私から利用してくれと言ったんだから。
静かに煙草をふかす赤井秀一氏をひたと見据えて、続ける。
「安室透氏が気に食わないのは本当です。早く借りを返して、掘り返さなきゃいけません。」
「探る相手がどんなやつか、分かっているのか?」
もちろん
「分かってますよ」
安室透氏の彼女を赤井秀一氏は狙っている。
つまり、シャロンさんは今、二人の男の間にいるというわけだ。
「上手くやります。」
彼が焦るのも無理はない。何らかの理由で沖矢昴氏という顔をしていた赤井秀一氏は元カノであるシャロンさんに逃げられ、安室透氏という今彼のせいで、近付こうにも、近付けない。
ましてや、周りには沖矢昴氏という顔で通っており、赤井秀一氏は自分のくるくるしている髪を気にして、シャロンさんに会えない。
だが弱ったな。
シャロンさんは安室透氏が好きだけど、赤井秀一氏は忘れられていない。
だってあんなに必死になってるんだから、よりを戻したいと思っている証拠だ。
……赤井秀一氏の勝率低いなあ
友人としてのアドバイスはしておいた方がいいかな。
「諦めも肝心と言いますから、手を引くのもありだと思いますよ?」
「残念だが、あっちが先に手を出したんだ。」
あー、はいはい。そういうことね。そんなにシャロンさんを奪われたことに執着するとは、かなり堪えているのかな。
「そういうことでしたら、やらなきゃですね。」
「わかってくれて助かる。」
この時、赤井秀一氏がちゃんと言ってくれれば、話に乗ったりしなかったし、こんな危ないことに首を突っ込むことは絶対しなかった。
なんて、後悔しても遅かった。
妙に真剣だった赤井秀一氏を背に、早速、日を跨いでから、ポアロに向かった。
「ね、安室透氏」
「なんです?」
人が疎らになった後、声をかける。
「私と恋人になりませんか。」
「え?」
驚いたように目を見開き、若干頬が赤くなっている安室透氏。
「嫌なら…」
「か、考えさせてください」
いや、断れよ。彼女持ちだろ。
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白亜(プロフ) - 深月さん» ありがとうございます!頑張らせていただきます (2018年12月4日 19時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - このジン好きすぎる!笑 続き楽しみにしています! (2018年12月4日 11時) (レス) id: 8705ebf4fc (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - りずりさん» コメントありがとうございます!頑張りますw (2018年11月10日 15時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
りずり - 続きが楽しみです!頑張ってください(●・ω・●) (2018年11月10日 14時) (レス) id: f9e3d4f71f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白亜 | 作成日時:2018年10月7日 10時