赤と大学院生 ページ3
「んまぁ…」
「お気に召したようで何よりです」
はっ!!
しまった、餌付けされてるっ…!
気付いた時には遅く、メガネ男改め沖矢昴氏の自宅…と言っても借りている場所らしい……邸のような場所で、私はアレンジされたレッドカレーを頬張っていた。
それより何だこのうまさ。
私が作るよりも断然美味い。
「何を入れたんです?」
「チョコレートと蜂蜜です」
「は?」
「チョコと、蜂蜜です」
な、な、な……!
「何をしているんだ!貴方は!!」
「?」
「いや、首を傾げても可愛くないです!!何故そんなことをするんです!
入れるなら苺を入れたらどうなんだ!!」
「それもそれでどうかと思いますけど」
壮絶な討論を繰り広げた後、試行錯誤した結果、結局のところチョコレートと蜂蜜で落ち着いてしまった。
彼も彼で私に会う前から試作はしていたそうだ。
スプーン1杯分のカレーたちを前にして、溜息をつきながら、質問をしてみた。
「随分暇なんですね、仕事してないんですか?」
「ええ、まだ学生でして」
「ふーん。仕事してんのかと思ったんですけどね」
「大学院生ですから」
スプーンが小皿の上に落ちた。
カランという音と目を見開く私を見て、沖矢昴氏は微笑んだ。
「大学院生!?大学生かと…」
「その話はいいとして、酸味が既にあるのにトマトを入れるのは折角の安定した味が崩れるのでは?」
「わかってないですね。私が言っているのは純粋な赤に馬鹿みたいに別の色を混ぜる貴方のやり方が気に食わないと言ってるんです!」
そこから私は彼の話を押し切り、赤の魅力や可愛いところそしてまた皆好きになればいいのだとひたすら語った。
ーー
「あっ、すみません。」
いつの間にか紅茶を入れてくれた沖矢昴氏に謝って、閉口する。
やってしまった。友人が居なくなる原因を。
ある時を境に、私の赤色に対する執着心が納豆の粘り気のごとくしつこくなっていた。
そのせいで…
〈え?なんか言ってたの?聞いてなかったわ。〉
〈うんうん、黄色がなんだって?〉
〈ところで、最近さあ〉
「どうかしました?」
「いえ…。そういえば、なんで条件を飲んでくれたんですか?」
「赤は別の呼び方もあるのをご存知ですよね?この紅茶とか」
「……あの」
「そうですね、あとは緋色とか」
「……」
「そういうことですね」
「沖矢昴氏、意味わからないです。」
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白亜(プロフ) - 深月さん» ありがとうございます!頑張らせていただきます (2018年12月4日 19時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - このジン好きすぎる!笑 続き楽しみにしています! (2018年12月4日 11時) (レス) id: 8705ebf4fc (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - りずりさん» コメントありがとうございます!頑張りますw (2018年11月10日 15時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
りずり - 続きが楽しみです!頑張ってください(●・ω・●) (2018年11月10日 14時) (レス) id: f9e3d4f71f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白亜 | 作成日時:2018年10月7日 10時