赤のドレス ページ16
「待って待ってシャロンさん」
「何かしら?」
「こっ、ここ凄く高級なとこじゃないですか?私そんな所持金持ってないです!それにこんな服装ですし…!」
焦る私を見て楽しんでいるのかくすくす笑いながら、私の手を掴んだ。
「大丈夫よ。見たところ、貴方の体型で合わないドレスは少ないわ」
「ちょっ!?え!?」
「さぁ、行きましょう」
私とシャロンさんはそのまま高級な服屋さんに入り、目がチカチカするほど輝かしいドレスたちに思わず感嘆のため息が出てしまった。
「んー…Aは赤が好きなのよね?」
「も、もちろん」
周りのお金持ちの空気に圧倒され、いつもの様に元気よくは答えられなかったが、強く頷いた。
私を下から上へ舐めように見つめ、目を細めたシャロンさん。
「これね」
ぱっと手で取ったドレスを私に押し付け、問答無用と言われて試着室に押し込まれた。
よく見たら、膝丈までしかなく、長袖で、首元ほぼ見せちゃってる感じのものだった。
谷間も見えてしまうのでは…!?
そ、それはシャロンさんだけで充分でしょ!
閉められたカーテンからちらりとシャロンさんを覗くと、満面の笑みのシャロンさんと目が合った。
(早く着て?)
口元はそう動いていた。それもちょっと目が据わってる。怖いよ。
仕方なく今現在来ていた服を脱いで、真っ赤なドレスコードを身につける。
ひえ、首元が足がスースーするっ…!
「あら…似合ってるじゃない」
「ひっ!?」
いつの間にかカーテンは開け放たれていて、意地悪そうな笑みを浮かべて、その美しい魔の手を私に伸ばした。
ーーーー
「すんごく可愛いわよ。赤がとても似合うのね」
「えへへー?やっぱ似合っちゃってますー?…って乗らせないでください!化粧なんて仕事行く時だけで充分です…」
シャロンさんの向かいの席に座り、高そうな料理を少しずつ口に運んでいく。
テーブルマナーはなんとなくしか覚えていなかったので、シャロンさんの真似をするしかなかった…大人気ないぜ…
「ついてる」
「はひ?」
急に迫ってきたシャロンさんの顔
口元にそっと這わされた指に、ソースがちょっとついていた。
気にする風でもなく、そのソースを食べたシャロンさん。
「す、すみません」
「いいのよ」
そんな彼女に盗聴器を仕掛けられたと気付いたのは、家に帰ってすぐのことだった。
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白亜(プロフ) - 深月さん» ありがとうございます!頑張らせていただきます (2018年12月4日 19時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - このジン好きすぎる!笑 続き楽しみにしています! (2018年12月4日 11時) (レス) id: 8705ebf4fc (このIDを非表示/違反報告)
白亜(プロフ) - りずりさん» コメントありがとうございます!頑張りますw (2018年11月10日 15時) (レス) id: f49322fecc (このIDを非表示/違反報告)
りずり - 続きが楽しみです!頑張ってください(●・ω・●) (2018年11月10日 14時) (レス) id: f9e3d4f71f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白亜 | 作成日時:2018年10月7日 10時