論文 ページ33
日も暮れ、ほとんどの従業員が帰った頃、デスクには久部がパソコンにてミコトの論文を見ていた。
久 「“練炭による殺人及びジサツに関する検討”…まじか…」
久部は論文に夢中になっていたため後ろから近づく中堂には気づいていなかった。
中 「スッゲ…心中マニアか？」
久 「あ、いやっこれ、三澄さんの論文…」
中 「なんだ、興味はそっちか」
中堂はつまらなそうに所長室に入り、手に持っていた弁当箱を開けた。
久 「中堂さんの手作り、ですか？」
中 「…ちげぇよ、四宮が作ったんだよ」
久 「ああ、四宮さんが…四宮さんの手作り弁当？！」
久部は中堂のお弁当はAの手作りだという事実に衝撃を隠しきれなかった
久 「え？え？…なんでっすか？」
中 「あ？んなもん関係ねぇだろ」
久 「そうっすけど…」
「中堂さん、お茶はいかが…あ、久部くんもいたんですね」
久 「あの、中堂さんのお弁当は四宮さんが…」
「…お恥ずかしながらたまに作らせて頂いてるんです、ラーメンばかり食べて倒れたら困りますので」
久 「へ、へぇー…」
中 「飲み物をくれ」
「今、お茶出しますね」
久部はこの2人がなんで付き合っていないのか、不思議で仕方なかった
中 「…コイツ、三澄の論文に興味があるんだとよ」
「ミコトさんの？あの練炭の論文ですか？」
久 「はい、四宮さんも読んだことありますか？」
「はい、もちろん。勉強になりました。」
久部は上手く弁当から話をそらされたことに気づきながら、論文に関する疑問を聞いてみた。
久 「あの、論文の事例では母親が無理心中を…」
「はい」
久 「身勝手な殺人を犯したんですけど、娘だけがとなりの部屋にいて助かったんです。なんでだと思います？最初から助けるつもりならもっと確実な方法をとりません？」
中 「名探偵の推理は？」
久部は一呼吸置き、自分の考えを話した
久 「真犯人は父親なんです。母親は殺されそうになりながらも、娘だけは守ろうと…娘を隣の部屋に逃がした」
中 「…美談だな」
久 「ですよねー」
中 「犯人が父親でも母親でも事実は変わらない。クソ親に殺されかけた。その子供、今頃は犯罪者になってるだろうな」
久 「いやいや、そんなことはないですよ」
中 「絶望するには十分だ」
「変わることのない悲しい事実を背負って生きていかなければいけませんから。真っ当に生きる方が難しいかもしれませんね…」
久 「……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魂祐(プロフ) - 捜査が操作になってる (2018年3月27日 0時) (
レス) id: d025171580 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 「権利」でも誤字があります！「兄が指され、自分も刺され…」の「兄が指され」では無く『兄が刺され』では？変換ミスかと思いますので訂正お願いします。 (2018年3月16日 1時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ(プロフ) - 青龍 葵さん» ご指摘ありがとうございます！すぐに確認して訂正させて頂きます！ (2018年3月15日 13時) (レス) id: 6accc65025 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 誤字があります！「世界の症例」でミコトが「そこ所長室ですよ?!勝手には行っていいんですか…」の「行って」では無く『入って』です。確認して訂正お願いします！ (2018年3月15日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ(プロフ) - ゆずさん» 読んで頂きありがとうございます！中堂さんらしい中堂さんを目指してなんとか…。更新がんばります！ (2018年2月10日 21時) (レス) id: 6accc65025 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユエ | 作成日時：2018年2月2日 0時
