不条理な死 ページ17
ミコトが去って、またAと中堂と２人になった。中堂はタオルを顔にかけ直した。その雰囲気は重いもであった。
「不条理な死…」
中 「なんだ、あいつに感化されたのか、馬鹿が」
「そういうわけではないですが…」
中 「だったらどうした」
中堂は再度タオルを顔から外しAを見た。Aは中堂ではなく、どこか遠いところを見ているようだった。
「ただ、人は不条理なことが起こってからではないと不条理だということに気づけません。だから、未然に防ぐことなんてできません。起こってからでは遅いんですよ。大切なのはそのあと…」
《あの時のように…》
Aは今は亡き兄のことを思い出した。もう二度と会うことのない最愛の兄のことを。
「…独り言でした。気にしないでください」
Aは微笑みながら中堂に応えた。その表情は微笑んではいるが普段は見ることはない、儚く悲しみ苦しみに耐えるような表情だった。
中 「ふん…馬鹿が、くだらない」
「中堂さん、」
中 「…んな顔してんじゃねぇぞ、馬鹿が」
中堂の声は思っていた以上に優しいものだった。
中 「何を考えているのか知らねぇが、その医学書に集中してろ、クソが。それか寝ろ。」
「……ははっ」
Aは中堂の優しさの欠片もない言葉に、なぜだか安心を感じて笑ってしまった。中堂はそんなAをおかしな目で見ていた。
「すいません、なんだか安心したので」
中 「…そうかよ」
中堂はそんな笑うAの姿を見てタオルを頭にかけ直し寝はじめた。Aも心がすっきりしたところで、読書を再開した。
その２人の雰囲気ははじめような重いものではなく、とてもすがすごしいものとなっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 676人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魂祐(プロフ) - 捜査が操作になってる (2018年3月27日 0時) (
レス) id: d025171580 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 「権利」でも誤字があります！「兄が指され、自分も刺され…」の「兄が指され」では無く『兄が刺され』では？変換ミスかと思いますので訂正お願いします。 (2018年3月16日 1時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ(プロフ) - 青龍 葵さん» ご指摘ありがとうございます！すぐに確認して訂正させて頂きます！ (2018年3月15日 13時) (レス) id: 6accc65025 (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 誤字があります！「世界の症例」でミコトが「そこ所長室ですよ?!勝手には行っていいんですか…」の「行って」では無く『入って』です。確認して訂正お願いします！ (2018年3月15日 4時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ(プロフ) - ゆずさん» 読んで頂きありがとうございます！中堂さんらしい中堂さんを目指してなんとか…。更新がんばります！ (2018年2月10日 21時) (レス) id: 6accc65025 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユエ | 作成日時：2018年2月2日 0時
