【 utit 】拝啓、わたしの辛い日々【 urtnk 】

結婚 弐拾参 ページ23

センラ視点


『 … 私は … 何も出来ないから … 』


朝食を食べ終え、掃除等をしてふとした時に思い出されるのは今朝の美桜さまのとても小さな呟き。

実は聞こえていたのだが、小さく呟いていたから聞かれたくなかったのではと思い、あの時は反応しなかった。

だが … あのとき、少しは反応すれば良かっただろうか。そうしたら美桜さまのあんな悲しそうな顔を見なくてすんだかもしれない、なんて。


「 … んなこと今さら考えてどないすんねん、そんなん意味ないやろ … 」


そんな言い聞かせるような独り言を呟く。だけど一向にその思考は晴れることはなかった。

なんで俺はこんなにあの子の表情を見て一喜一憂しているのだろうか。

あの子の目が何も写していないようで可哀想だったから？うらたんに幸せになってもらいたいから？
それとも …









彼女が―――――だから？


そんな疑問は解消されることなく、今日の仕事はほぼ終了した。


「 美桜さま、もうそろそろで若旦那さまが帰宅すると思いますよ。 」

「 ！はい、分かりました。わざわざありがとうございます 」


うらたんの話題を出せば心なしか美桜さまの表情がほんの少しだけ明るくなる。
それほどうらたんに心を開きかけているという証拠なのか、あるいはうらたんのことが好きになりつつあるのか … 。

どちらにしても昨日会ったばかりだというのに、簡単に信用しすぎではないだろうか。
ここに居てもいい と遠回しにだが言われただけだろうに。

… なんてうらたんも、ましてや美桜さまも悪くないのに心の中で悪態をついてしまう。

ああもう、休憩中と言えど一応まだ仕事中なのにこの調子なんて、集中できてない証拠やんな … なんて思いながらため息をつく。

使用人用の休憩室に入った僕は渇を入れるために両頬をパチンッと痛そうな音が出るくらい強く叩く。

… 強く叩きすぎて頬が痛い … 。

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