【薄桜鬼】暗殺者『桜姫』其の弐 (ページ35)

今日:1 hit、昨日:11 hit、合計:88,127 hit

△第漆拾伍章▼ ページ35

(土方ｻｲﾄﾞ)

夜、近藤さんは右肩を撃たれて帰ってきた

山崎「これじゃ血が止まりません。焼きますよ」

雪村「はい」

山崎「いいですね？」

原田と斎藤が抑えた

原田・斎藤「ああ」

焼く音と、近藤さんの苦しそうな声が響く

島田「二条城での軍備が終わり奉行所に戻る途中、突然、狙撃されました」

土方「近藤さんは、そのままここまで、馬で駆けてきたのか…」

島田「はい…もし落馬すれば、刺客の手に墜ちていたかもしれません。申し訳ありません！局長を守りきれずにっ…」

土方「いや、近藤さんが奉行所守護を手薄にしてまでの護衛は不要と、説得できなかった俺の責任だ…」

(斎藤ｻｲﾄﾞ)

山崎「副長、今夜が峠です」

今は眠っているようだ

すると、襖が開いた

A「近藤さん…どう、したの…？」

顔を真っ青にして、震える声でそう聞いてきた

俺も含め皆は、Aに対して何と説明していいか分からず黙っている

そんな皆を見て、柱に掴まったまま一歩部屋に入ってきた

A「…撃たれたの？」

土方「ああ…」

Aは目を見開く

A「誰に…！？っ…」

少し声を上げた後、頭を押さえてその場に座り込んだ

斎藤「A…！」

A「ハァハァ…敵、討たない、と…」

駆け寄った俺の裾をギュッと掴んでくる

と言っても、ほとんど力は入っていないのだが

斎藤「落ち着け。犯人はまだ分かっていないんだ」

そう言って頭を撫でてやると、Aは悔しそうに唇を噛み、ﾎﾟﾀﾎﾟﾀと俺の着物に涙を落とした

(沖田ｻｲﾄﾞ)

近藤さんっ…

Aの姿を見て思った

何としても僕が、近藤さんの敵を討たないと…！

沖田「ｸｯ…」

重い身体を引きずりながら部屋に戻り、刀を手に取る

それを支えにしても、立ち上がる事ができない

沖田「いくら敵を討ちたいと願っても、刀を振るう事すらままならないのかっ…！」

変若水を取り出した

沖田「僕は、戦える！」

一気に飲みほす

最初はかなり苦しかったけど、だんだん力が漲ってきて、胸の痛みや苦しさもスッと消えた

そして、挑発であろう発砲の音がした方に向かって走った

そこにいた奴らを全員斬ると、南雲薫が出てきた

沖田「近藤さんを撃ったのはキミ？」

南雲「変若水、飲んでくれたんだ？新選組一の剣士と唄われる沖田を羅刹にできるなんて…」

僕が近付いていくと、顔をしかめた

南雲「(ん？いや、羅刹じゃない…？)」

沖田「質問に答えろ！」